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そのねこがうたうとき

物語偏愛者の詭弁と戯言

諸君、私は電話が嫌いだ

ネタじゃなくて結構ガチで電話が嫌いです。同意していただける方も多いかと思いますが。

電話は不意に時間を刈り取っていく

ヤツは僕が料理していようが寝る準備をしていようが友人としゃべっていようが、どんなときでもお構いなく突如として鳴り出し、僕の時間を刈り取ろうとしやがるのです。あの傍若無人な振る舞いが本当にムカつくんです。特に自分が集中して作業をしているときだとめちゃめちゃ頭に来たりします。「別に出なきゃいい」とか「取りあえず出て『後でかけ直す』って言えばいい」って思われるかもしれませんが、なんかもう鳴っちゃった時点で萎えるんですよ。かといってオフにしておくと、あとで相手から「地下にでもいたの?」と問い詰められる。

メールなら別に後で応答すればいいから気に障らない。でも電話だとその時点でやっていたことを一時中断して、相手との会話に強制的に移行しなくてはならなくなります。何コレ。なんでこっちの意思は完全無視なんだろうか。僕は今、動画を早く見たいというのに、何故こんな黒くてちっこい機械にそれを邪魔されなくてはならいんだろうかとか本気で考えます。

道具に「使われる」感覚

相手に対して怒ってるわけじゃなくって、あの電話という機械そのものがムカつくんですよね。挑発的に言えば、僕が使ってやっている道具のくせに、ご主人の時間を邪魔するという、その反抗的な振る舞いが鼻につくのかしれません。

一種道具に振り回されているような気もします。携帯を持つことを嫌がる人というのは以前(今も?)一定数いたように思いますが、それはやっぱり「携帯に縛られる」感覚を嫌う故でしたし。

関連:道具に人間が使われる日 - 一詩人の最初の歌

24時間、誰かが「私」の域へ入り込む

ただ、それよりもっと根本的な原因にあたるのは、24時間誰かしらが僕の「私」の領域へ入り込む可能性があるということだと思うんです。

人間は常に誰かと共にあるわけではありません。一人の時間、プライベートの時間というものが必ず存在していて、ときには一人でありたいようなこともあるわけです。しかし、電話、あるいは携帯の存在というのは、その「私」の在り方を脅かします。自宅でゆったり趣味に没頭しているときでも、ゼミの教授から電話がかかってきた途端に僕の「私」は崩壊し、大学モードへと切り替わります。

おそらく、それが僕はたまらなく嫌なんです。携帯が鳴動することは、今僕が過ごしている「私」がまもなく崩壊する可能性を意味している。僕は一人の時間が好きな根暗なインドア派なので、その傾向は他の方々に比してさらに顕著なものであろうと思います。また数時間後まで細かく計画を立てて行動することが多いので、その計画が頓挫することも嫌がるわけです。

社会不適合なのはわかっています。電話というのはむしろ相手の「私」を崩壊させ、別のモードへ切り替えさせるためにこそ存在しているツールだとも思います。だからビジネス上欠かせないものにもなっているわけで。もちろん現実としては受け入れますが、感情的にはたまらなく嫌なんです。電話をかけることで、僕の時間を強制的に奪えるということを相手が認識していたとしたらさらに嫌です。

ネット系コミュニケーションツールのユルさ

電話というのは、すなわち瞬時に二者間の「私」を強制的に接続できるツールなんですよね。いつどこで何をしているときでも、その一本で二人は同じ領域に共存することになる。コミュニケーションツールとしては最も強力な部類に入るかと思います。

それに比べてメールは好きです。来たメールに僕がいつ応答するかは、僕の判断に委ねられます。そこに相手が介入する余地はありません。メールでは二者の「私」が接続することはないと言っていいでしょう。双方向に見えて、メールはあくまで単方向と単方向を交互に繰り返しているだけです。無論、2日も3日も遅れて返信するのは言語道断ですが、せいぜい1日も猶予があればどこかしらメール1本打つ時間は持てます。かなり心に余裕が生まれるツールです。

ただ、その代わりメールには伝達の不確実性という弊害が生まれました。技術的な問題で届かない可能性はありえますし、相手が読んだかもこちらからはわからない。読んでくれていても、返信をすっぽかしたままなのかもしれない。あるいはスパムに紛れたのかもしれない。いろいろあります。

だけどメールの持つユルさは、すごく優しい気がします。どこか相手に「返信は好きなときでいいよ」と言っている謙虚さがあるように思う。僕が自己中心的(死語)なだけかもしれませんが。

電話の不快感をなくすには

コミュニケーションツールはどれも一長一短なわけで、どれが優れているとかってわけではなく、用途によって使い分けるべきなのは自明なこと。だから別にメールに対して電話が劣っていると言いたいわけではないですよ。電話をしなければならないシチュエーションがあるのはわかっています。僕も当然のことながら使うときはあります。

だからどうすれば電話着信の不快感をなくすことができるかなーなどとぼんやり考えたりもしています。相手側に要求するとしたら、例えば電話の前に一度メールで「今電話しても大丈夫か」確認してもらう。そうするとこちらも「30分後なら空いてるよ」とか返せますし、いきなり電話をかけるよりはつながる可能性も高いんじゃないかと。

僕の側が何かするとしたら、えーと……コミュ力上げるというか、もっとオープンになることですかね。あまり自分の殻に閉じこもり過ぎない。完全に周囲を遮断して自分の時間を過ごしているから、それを壊されることを極度に嫌うようになるわけで。この点は僕の方にも改善の余地ありです。