メディアリテラシーという幻想

ついに新型インフルが日本上陸かも?とかなんとか。

成田空港関係者によると、米ロサンゼルスから成田空港に30日午後到着した米ノースウエスト1便で、乗客女性1人がインフルエンザ簡易検査に陽性反応を示した。女性は救急車で搬送された。

痛いニュース(ノ∀`) : 【新型インフル】 成田空港で、日本人女性に陽性反応 - ライブドアブログ

これはついに来たんですかね。ただ痛いニュースの見出しには「新型インフル」と書かれているものの、実際には簡易検査でA型インフルエンザの陽性反応が出ただけのようです*1。A型なら香港型とか、別のタイプの可能性もあるので何とも言えません。詳細判明までは少し時間がかかりそうです。焦りは禁物。

(追記)

この患者については新型インフルではなく、A香港型だったようです。

情報選別の難しさ

今回の新型インフルエンザ*2騒動を巡って思い知らされるのは、どれが正しい情報なのか選別することが、いかに難しいかということです。そもそもの日本のメディアの報道をどこまで鵜呑みにしていいのかわからないし、WHOのフェーズ5引き上げが妥当だったのかもよくわからない。はてなではBBCの末恐ろしい投書が話題にもなりましたが、これも投書自体の真偽の程は不明なわけです。

参考:豚インフルエンザについて BBC News の投書欄が怖すぎる件について - elm200 のノマドで行こう!

海の向こうの現状がどうなっているのかわからない*3のもあり、医学関連の知識がほとんどないこともあり。新型インフルはどうも大変そうだということはわかるものの、どこまで現実的に影響があるか、いまいちピンと来ていなかったりもしています。これについては自分の知識のなさを猛省しなければなりませんが。

今回の件に限らず、情報の真偽判定が難しいことはよくあります。メディアリテラシーがどうのとか、「嘘を嘘とry」とか言いますし、その重要性はよくわかっているんですが、実際問題自分に知的バックボーンがない事柄に関しては、正しく真偽判定が出来ないことも往々にあるわけです。1日に取り入れる膨大な量のニュース全てに関して真偽を確かめられるわけでもありませんしね。メディアリテラシーを高めるのには限界があるって側面は否めません。

真実はあやふやなもの

もっと言ってしまえば、そもそもそこまで真実に迫ることが必要なのかよくわかりません。確かに捏造された情報を鵜呑みにしてしまったり、よくよく調べもしないで感情的に情報選別を行ってしまうことは避けなければなりませんから、ある程度簡易的な真偽判定は必要です。でも何もかも真実が簡単にわかるような話ばかりでもない。あるいは、すべてのことに対して統一的な真実ってものがあるわけでもない。「真実はいつも一つ」って台詞が実は誤りなんじゃないかってのは言うまでもない話です。

まして地球ぐるっと回って向こう側のメキシコの真実なんて、行ったこともない僕らがそう簡単にわかるもんかって思います。マスコミやらネットやらが発達して、情報に簡単にアクセスできるようになって、真実ってものにも以前より近づけるようになったと僕らは誤解しているんじゃないでしょうか。ネットがあろうがグローバル化が進もうが、それでもアクセスできる情報には限りがあります。僕らの当たる情報のほとんどは二次、三次ソースでもあります。真実って、そんな簡単に行き着けるものではない気がします。

行き着けるのは、自分にとっての真実だけです。

自分にとっての真実を謙虚に受け止める

いくつかの情報を選別した結果、どうもこれが正しいんじゃないかってところまでは自分なりにたどり着ける。それも間違っている可能性はあるわけですが、個人のレベルで行き着ける真実には限界があるように思います。だったら絶対唯一な真実を懸命に追い求めるより、自分なりの真実を謙虚に受け止めることが重要なんじゃないだろうか。もちろん、慎重に吟味に吟味を重ねた上で。そして自分で出した答えには自分で責任を持つことも必要です。仮にそれが間違っていたとしても、ソース元を過剰に責めない*4。誤報を流すことは許されませんが、それを真実だと判定したのは他ならぬ自分なのだから。

結局僕らにできることって、これぐらいなんじゃないかと思います。絶対に間違っていない確実な真実を追い求め続けることは、ある意味で不毛なことでしょう。というか、誤りのないまっさらな真実がどこかにあるとか、それを探し求められるようなメディアリテラシーを身に着けるだとか、そういったことは幻想に過ぎないように思うのです。

*1:ソースとなっている産経新聞でも「新型インフル」とは書いているんですが……。

*2:舛添大臣の発表はこっちだったのであえて。豚ってどうよ?って話もありましたし。→[http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090429/erp0904292012003-n1.htm]

*3:「落ち着いている」という報道もありましたけどね、なんか……。

*4:納豆騒動なんかが良い例ですね。