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そのねこがうたうとき

物語偏愛者の詭弁と戯言

週刊少年ジャンプから卒業する日

サブカル

ONE PIECE』は連載開始当初、僕が小学生の頃から新刊を欠かさずに買ってきた漫画で、自分の人生の中では最も長く購読している漫画であり、そして今後もきっと長く読み続ける漫画なのだと思うのだけど、今月の新刊を書店で手に取ろうとしたとき、ふと「ああ、もう買わなくていいかなぁ」と思ってしまい、突然に買うことをやめた。子供心にドハマりし、空島編のgdgd感もなんとか耐え抜き、その後も惰性で買い続けて文字通り半生を共にした漫画だったが、ある時唐突に購読をやめてしまった。そのときの僕は、ONE PIECEを買うために持ってきていたお金を隣にあったまどマギスピンオフ上巻を買うことへと費やした。

別に嫌いになったわけではない。そういう意味では相当前に熱は冷めている。アラバスタ編までは話のテンポも良く、戦闘もそこそこ緊張感を持って見ていられたが、空島編のどう考えても「蛇足」としか思えないストーリーを長々書かれた辺りから、ちょっとした不満を覚えていた。「鉄を斬る」まではなんとか人間業としての許容範囲だと考えていたが、「阿修羅」の辺りからは能力者と非能力者の違いというのもよくわからないものになり、戦闘描写もどこまでがギャグでどこからがガチなのか判別がつかなくなる。仲間が増えるに連れてテンポも悪くなり、ただただ騒がしくお約束の展開を繰り返していくような、どうしようもない漫画に成り下がったのは感じていた。

それでもあの広大な世界観とか、登場人物間の不可思議でありながらどこか胸熱くするような関係性とか、続きが楽しみになる漫画ではあったのだ。近頃も新世界に突入するなりスモーカーとローをぶつけてきたりとか、少年たちがワクワクするような話を描くという意味では、本当にこの漫画は素晴らしいものだと思う。ただ、飽きてしまったというか、毎回毎回牛歩のごとくしか進まないストーリーを追いかけるのが疲れたのだ。僕の本棚は、そんなものにスペースを割けるほど余裕のあるものでもなくなってきた。ストーリーの大局自体は今後も追っていくだろうが、継続的に家に単行本を溜め込んで行くことはない。言うならば、ハリー・ポッターのような存在になった気がする。アレも続きが気になりはしたが、ヌガー食べたりなんだりしてる取るに足らないような仔細な描写を読みたくはなかったし、あの徐々に広辞苑並みの厚さになっていく単行本を買う気は到底しなかった。

この長寿連載を手放したということは、自分がジャンプを卒業する日もひょっとして近いのかもな、と思う。ジャンプは子供よりむしろ大人の方がよく読む漫画雑誌で、きっとこれから終生読み続けて行くんだろうと中学生の頃は思っていたものだが、未来というのはなかなかにわからないものだ。巷では質が下がったとか、低年齢向け、腐女子向けの作品が多くなったという声も聞くが、僕の場合は単純に自分の趣味が変化したのだと思ってる。最近は青年誌の漫画やラノベ原作の漫画に手を出す機会が多く、ジャンプ漫画では物足りなく感じることが少なくない。まぁ確かにジャンプ自体、色を変えてきたという側面はあるにしても、だ(そうでなければ、荒木や森田が連載途中で移籍することもなかったろう)。少年漫画の王道でまっすぐな物語が、なんとなく今の自分に合わなくなってきている。「厨二成分」というのもジャンプを欲する一つの要素であったが、それも禁書や西尾維新と並べてしまうとやはり物足りない。そういった自分の変化は、どこか寂しくもある。

だが、とは言え本当にジャンプ漫画をまったく読まなくなったわけではなく、正確にはまだ購読中の作品がある。一つは『ハイキュー!』で、これは王道少年漫画として本当に面白いので、妙なことになってしまわない限りは読み続ける予定(参考:『ハイキュー!!』は「自然な高校スポーツ」を描き切って終わってほしい - 一詩人の最初の歌)。そしてもう一方、こっちが問題なのだが、きっと僕は『HUNTERxHUNTER』が終わらない限り、本当にジャンプを卒業することはできない。この漫画の面白さは反則級だ。冨樫に愛想を尽かす日というのも、ひょっとしていつか来てしまうんだろうか。

ONE PIECE 68 (ジャンプコミックス)
尾田 栄一郎
集英社 (2012-11-02)

↑買わなかったヤツ

↑買ったヤツ