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そのねこがうたうとき

物語偏愛者の詭弁と戯言

『言の葉の庭』、話と絵のバランスとか

『言の葉の庭』、YouTubeで観た予告編が良い感じだったので2日目にあたる6月1日に見てきましたけど、予告編で得た期待感そのままの感じで良かったですよ。『星を追う子ども』を観た時の「なんじゃこりゃ」感はなく。『秒速』が好きだった人ならすんなり入れるはずの作品。以下、ネタバレありで感想です。


『言の葉の庭』 予告篇 "The Garden of Words" Trailer - YouTube

まぁ取りあえずは何と言うか、やっぱりアニメーションを作ること自体は上手い人なんじゃないかなーというのが再確認できた。本人も事前にインタビューとかで語ってたけど、この作品のテーマでもある「雨」の描写がすさまじい。濡れた地面を歩く靴音とか、急に降りだす雨でサーッと辺りが白く煙っていく感じとか、そういう丁寧な描写を見ると「ああ、新海さんだなー」となんとなく安心する。

特に「その日、関東地方が梅雨入りした」という台詞からのシーケンスがすばらしかったー。その一言と、めくるめくカットの組み合わせだけで何が言いたいのかはすげーよくわかるっていう演出の妙。うん、ああいうのが観たくて新海作品を見るんだよなー。あとカメラワークも今回グングン動かす感じで、今までとは少し異なる印象が。新宿のあのよく目立つドコモタワーが、ここまで印象的に使われた映像作品もなかなかないのではなかろうかw

んで心配だったのはストーリー面で。新海さんの作品ってどうにもちょっとぺらーんとしてるというか、「綺麗なPV」を見てるって印象だけで終わってしまう面がこれまであったんだけど。『星を追う子ども』のことはもうあんまり言いたくないけど、残念ながらどういう話だったか全然覚えてないし。で、今回も先生の正体が割れるところからの展開は「あーなんか平凡で蛇足臭くなりそう……」とかなりハラハラした。それまでミステリアスだった女性が実はすっごい身近にいて、そんで彼女を助けるために無茶するってまぁ、お約束じゃないですか。でも、尺が短いこともあってかサクッとまとまってたようには思う。最後の入野君の演技に救われたと言ってもいいのかな。鬱エンドでも、単なるハッピーエンドでもないああいう後味は良いですね。あの二人の関係、15歳の少年ならそりゃー恋として認識しちゃうんだろうけど、27歳の女性からするとちょっと違うんだよね、多分。人生の一時点を救ってくれた人と、共に連れ添う人は異なることを先生はもう知ってるんだと思う。新海さん、ぶきっちょでまっすぐで思春期真っ只中な少年を描くの好きなんですかね。ああいう真っ直ぐさとか、一度すっ転んで起き上がり方がわからなくなる感じとか、その狭間にいる世代としては胸に来るものがありますよね。秒速とは別の意味でダメージを食らった。うん。ダメージでかい……。

今回は『秒速』のように完全に現実に根ざしたお話だったけど、やっぱ新海さんはそっちのがいいんじゃないかなー。彼は現実を切り取ってアニメの世界へ持ってくるのが上手いのであって、空想の世界から下ろしてくるのは門外漢なんじゃないですか。初期の頃は『ほしのこえ』とかSFっぽいのが多かったし、『星を追う子ども』もガチガチのファンタジー(的な何か)だったけど、どれもストーリーとしては微妙だったもんなー。というか、ストーリーとしてファンタジーを使っているのではなく、単に舞台を空想に据えているだけだから、リアルな背景描写が逆に陳腐になってしまうというか。アニメってお話とか台詞がもたらす印象と、絵や演出がもたらす印象の複合効果なわけじゃないですか。今までそこが上手いこと噛みあってなかったのが、今回やっと、話の方が少し追いついたんじゃないかなーと。ファンタジーにしないなら実写でよくね?っていう話もあるんだろうが、実写より綺麗に仕上げてるから意味あるんじゃないですかね。

そんな感じで、わりと満足できる作品でした。しかし今回、入野君もはなざーさんもいい演技だったなー。はなざーさんいいよね。もうはなざーさんがいれば正義だね。つかヒロインが普通にかわいかったんですが。新海ヒロインでかわいいと思えたの初めてだ。やっぱはなざーさんのおかげか。というか、今回いろいろあざとかったからか。

あ、あとこの作品って単独上映だと思い込んでたんだけど、実際見てみたら2本同時上映だったのね。もう1本の『だれかのまなざし』については……あー……いいや。取りあえず言いたいのはPROUDやめろや! 感動返せこら!w うん、その辺を全然知らずに見ちゃったからなー……。