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そのねこがうたうとき

物語偏愛者の詭弁と戯言

TARI TARIと合唱祭と、文化の裾野を広げるということ

すげーよかった。

去年放送したアニメ『TARI TARI』の劇中歌を、Twitterを通じて集まった有志の合唱団が「白浜坂高校合唱同好会」として歌うという企画。3月に話には聞いていて、あわよくば参加したいぐらいの気持ちだったんだけど、残念ながら仕事の都合で練習に行けそうもなく。なのでせめて本番だけでも聴いてみようと、東京都合唱祭に行ってきました。

はじめに言っておくと、合唱祭ってそんなメジャーなイベントじゃないです。どころかドマイナーだと思います。コンクールのように成績をつけられるイベントではないので、夏の全国コンクールや演奏会の前哨戦程度に位置づけている合唱団も少なくないかと(経験談)。ただ、合唱連盟非加盟団体でも参加できるという緩い参加条件のため、おっそろしい数の合唱団が歌いに来ます。今回の東京都合唱祭だと200団体が歌うんだとか。要は合唱好きが歌いに来て、合唱好きが聴きに来るイベント。僕が会場に入ったのは「白高同好会」が始まる1時間ちょい前でしたが、客入りはだいたい半分程度でした。

が、白高が始まるときには8割ぐらい埋まってたかなー。おそらくそれ目当てであろうという人たちと、直前に出番が終わった若い合唱団が客席に入ってきて。客席の平均年齢が一気に20歳ぐらいは下がりましたw(合唱愛好家ってなぜか平均年齢高いんですよねー) それまで静かに淡々と進んできたプログラムが、一気に雰囲気が変わったような。白高同好会は背中に「合唱人」と書かれた色とりどりのTシャツを着ていて、総勢169人なんだからそりゃ会場もざわつくわって感じですが。

肝心の歌は。人数にあかせた声量もさることながら、多人数だからと声がバラけることもなく、整ったいい演奏をしていました。舞台に立っていたうち、約半数が合唱未経験者だった上、練習回数もそれほど多いわけではないにも関わらず、よくここまで仕上げたなーと。何より、演者たちが本当に楽しそうに歌っていたのが印象的で。1曲目を歌いきり、2曲目『心の旋律』に入ってテンションが上がってきたのか、サビのあたりで一気に盛り上がっていったのが本当に素晴らしかった。俺が合唱現役の頃ってコンクール上位を目指していたから、なんだか必死になって演奏することが多かったんだけど、白高のみなさまは誰もが笑顔だった。楽しそうだった。あー合唱好きになってくれたんだなーというのがヒシヒシと伝わってくるいいステージでしたよ。いや、お世辞なしで。合唱を知らなかった人たちが、合唱を楽しめるところまで来てくれたということが合唱好きとして嬉しかったです。

この企画、発起人がTARITARIの合唱監修の人であり、東京都合唱連盟の理事をしている指揮者さんであり、ついでに言うと僕も個人的に面識がある方なんですが、合唱を生業としている者として、実にいい仕事をされたなーと感嘆しました(なんか上から目線っぽくてすんません)。合唱祭というイベントに、合唱外のクラスタを80人も引き連れて舞台の上へ上げるということ。そして彼らに合唱の楽しさを知らしめたということ。文化を拡げていくことって、文化を絶やさないことってこういうことなんだなって。いろんな「聖地」の盛り上がりとか、軽音ブームとかこれまでも聞きかじってきましたけど、自分がいるクラスタで同じことをやられると、アニメがきっかけだろうがなんだろうが、こういうことって本当に必要です。どんどんやるべきだと思う。

ていうかね、率直に言って合唱楽しいからさ! 軽音は楽器買ったりとかコード覚えたりとか結構敷居高いと思うんだけど、合唱は声さえ出れば誰だってできます。いつだって、どこだって、誰とだって。そしていつまでも。今日の合唱祭でも、舞台上の雛壇を上がるのもおぼつかないぐらいのおばあちゃんが出場されたりしてまして。歌をうたう楽しさ自体はカラオケなんかでみんな知ってるんでしょーけど、仲間と一緒ならハーモニーを奏でるだとか、膨らんでいく声量を楽しむだとか、独唱では味わえない心地好さを楽しめます。だから、やろうよ合唱! みんなもっと気軽にやろう! 今日の舞台、「また来年も来て下さい」と言われていましたが、ホントそれです。今日の楽しさっきりで終わらせないでほしい。また来年も、再来年も、別の形でもいいから合唱を楽しんでほしい。

これほど涙腺にくる合唱を聴いたのも久しぶりかもしれないなー。今日は僕の旧ブログの元ネタである、信長先生の「一詩人の最後の歌」も聞けたし、大満足です。