そのねこがうたうとき

物語偏愛者の詭弁と戯言

町田洋先生が素晴らしかった

才能という言葉はあまり好きじゃない。努力や研鑽の過去を覆い隠し、自分が届かない彼岸へと相手を置いてしまう「逃避」に似た言葉だから。でもこの作家のこの持ち味は、出そうと思って出せるものではない。そういう意味で「才能」と呼びたい。

心の奥底にグッと一直線に届いてくるのに、読後感は不思議なぐらいあっさりとしていて爽やか。ここではないどこかなんだけど、確実にこの地平と繋がっている感覚を覚える不思議な作品。「惑星9」も「夏休みの街」もきっとすぐ近くにある。だからこそ僕らは生きていける、んだと思う。

なんて、詩的な表現をしてみましたが、とりあえずウェブで読めるからまずは読んでみましょう。人を選ぶ作品だと思うので、合わなければ合わないなでおしまい。少しでも心惹かれるものがあったのなら、お近くの書店へゴーです。メ芸受賞作なので、いまそれなりに数が出ているっぽい。

町田洋

それにしても、メディア芸術祭ってなかなか絶妙なセンスしていて侮れないなーと思う。町田さん、去年商業デビューした新人なのですよね。しかもなかなか万人受けするわけではないこの作風。他の受賞作が『ジョジョリオン』、『それ町』、『アリスと蔵六』などそれなりに癖のある作品が多い中で、ぽつりと出てきた面白い漫画でした。