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そのねこがうたうとき

物語偏愛者の詭弁と戯言

石井祐康というアニメーターについて

※なんか動画埋め込みうまくいってないんだがとりあえず上げる。


先日スタジオ・コロリドの『台風のノルダ』見てきました。世間的にはジブリ出身の新井監督の名で売られているみたいですけど、自分の興味は完全に石井祐康だったので石井さんの話をします。ノルダに関してはなんというか、初期新海作品に見られるような「絵は確かにすごいけど、設定詰め込みすぎじゃね?」という感覚が強かったので、今後に期待したいかなという感じでした。見たい人はたぶん今週ぐらいで上映終わるので急いだ方がいいです。

石井祐康、という名前でピンと来るかはわからないが、『フミコの告白』というと当時見た人は多いんじゃないかと思う。

[http://www.youtube.com/watch?v=0QqT1P4VO30:movie]

そう、これ。これ作った方がいまコロリドにいらっしゃって、今回はノルダのキャラデザという形で関わっている一方、2013年の監督作である『陽なたのアオシグレ』が併映されていました。これについてはフミコや『ポレットのイス』にも似た、一つのアイディア(というより関係性)と、疾走感のあるアクションという、石井作品ではすでに定番化した組み合わせを軸にした映画なのだけど、前半の絵本のようなほのぼのとした雰囲気と、終盤の現実と妄想が入り混じったカラフルかつスピード感ある絵のギャップがなんとも爽快で。背景には某爽やか系アーティストの曲までかかるので、つい笑い出してしまうぐらいスカッとする絵だったのだが、一貫してこの「疾走感によるカタルシス」を描ける持ち味というのは素晴らしいなと思うのです。

んで1作だけ毛色の違う作品で、 彼は『rain town』も発表している。

[http://www.youtube.com/watch?v=RLAfM1RXwRs:movie]

文化庁メディア芸術祭で新人賞を取った作品ということで、自分は六本木でこれを見た記憶があるのだが、当時は石井氏の作品ということに気付かず、今回調べ直すなかで改めて知った。

他3作のようなガツガツと動き回る絵では決してないのだが、細部まで丁寧に描かれた世界観は共通していて、なんとも引き込まれる。単純に「絵が綺麗」とか「動きがすごい」というレベルだと、正直昨今はテレビアニメですらかなりのクオリティに達していて、飽和状態にすらあると思うのだが、だからこそこういう自分の空気を表現できるアニメーターというのは重要だよなと思う。その点は新海監督とか細田監督もそうだと思うのだけど。

少し極論になってしまうかもしれないが、いまのアニメはスタジオの力で作る産業的な高クオリティの作品と、新海、細田、石井(あるいは宮崎、庵野あたりもそうだが)のようなクリエイターの色で売る作品に二分されるのではないか。まぁ、単なる雑な思い付きだが。

石井作品、ここまでは短編の発表しかないので、そろそろ長編も見てみたいという期待がある。これまでの作品はそろそろ円盤化される、というかノルダの上映館で先行販売しているようなので、とりあえずはこれを買って正座待機かなーと。