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そのねこがうたうとき

物語偏愛者の詭弁と戯言

庵野さんがこの映画を作ったという事実だけで、まだまだ生きる意味があるなと思えるわけです


『シン・ゴジラ』予告2

シン・ゴジラを立川シネマシティの極上爆音上映で見てきました。とりあえず言えるのは、早く立川シネマシティの極上爆音上映でこれを見てきてくださいということです。IMAXもいいけど極爆オススメ。こうい>うドガーンバゴーンって感じの映画にはとても合うね、あれ。なんかうるさいと嫌だなーと思って今まで避けてたんだけど、全然耳につらい感じじゃない。身体を震わすウーファーサウンドがとっても心地良くて>、闇雲な大画面!大音響!大迫力!なんていうのより全然いいですよ。まぁ立川じゃなくても早く見ましょう。ネタバレ踏む前に。庵野作品を過去に少しでも「いいな」と思った人なら、特撮が好きなら、オタク>的な感性を持っているなら、邦画が好きなら見ましょう。あと、エヴァが好きなんであって別に庵野さんが好きなわけではないしなーとか思っている人も見てOK、むしろ見てください。ほんと見ましょう。

以下、ネタバレ。


率直な感想としては「やりたい放題だなマジで」。在来線爆弾とか新幹線爆弾とか、別にあんな攻撃の仕方する必然性もないので完全に「やりたかっただけですよね?」って感じだし、凍結剤つくってるプラント>の配管とか無駄になめて映すのも「趣味ですよね?」って感じだし、熱核兵器使用のカウントダウンが始まって、アメリカのどっかのおえらいさんが3人窓に向かって立ちながら「2週間はジャパンには短すぎるが>、多国籍軍には長すぎる」とか言ってたの相変わらずだなめっちゃカッコええなって感じだったし、多摩都市モノレールをあんなにカッコよく撮れるのも日本で庵野さんだけやなと確信しました。彼のああいう趣>味はこれまでアニメーションで散々見せられてきたけど、実写で見るのも悪くないものだなと。あと脚本。台詞。長いし速いわ。なんだあれは。日本の一線にいる役者かき集めてあの台本渡したって本当によかっ>たのかなと思ってしまう。ゴジラの看板背負いながらもきちんと自分の色を出して、その企画をちゃんと通してこうして作品にするって素晴らしいなぁと感心しました。まぁ東宝庵野さん抜擢した時点でこうい>うの望んではいたんだろうけど。

この映画を見ているとエヴァを連想するのは当然ではあるのだけど、個人的な印象としては新劇場版以上にエヴァ的に思えた。新劇場版はなんというか、特に『破』で顕著なのだけど、いわゆるエンターテイメン>トとしてのスペクタクルに傾いている部分が大きくて、どちらかというと鶴巻さんの映画かなーという感じが強いのですよね。シン・ゴジラは見ていて「ああ、庵野さんだな」という印象を強く感じていて、それ>はさっき書いた演出とかビジュアルの面もそうなんだけど、テーマとしても。というか鷺巣さんの音楽がかなりエヴァを踏襲していたので、意図的にエヴァと重ねてはいるんだろうなと思ったり。ちなみに樋口さ>んの色というのは、彼の映画を見ていないので今回どう反映されてたかはよくわからないです。

庵野さん、なんだか全部ぶっ潰してみんないなくなっちまえみたいな思想を持っているかのように語られている節があるように思うけど、人間の力というのをきちんと信頼していて、どんなに何もかも壊れてなく>なってしまっても、そこからまたやり直していけるというのが彼の本質だと思うのです。それはEOEのラストにも現れているし、今回のヤシオリ作戦の元祖たるヤシマ作戦にも現れていた。だからただただ退廃的だった『Q』は見ていて不安になったのだけど、今回シン・ゴジラで「この国はまだまだやれる」「スクラップアンドビルドでこの国はずっとやってきた」という台詞を吐かせてくれたこと、ゴジラ放射性物質の半 減期が極めて短い旨をあえて描いてくれたことなど、未来を信じる形で終わらせてくれたのがとても嬉しかった。犠牲はきっちり払った上で、「人間」の未来を繋ぐ物語を描くというのはとても彼らしいと思う。

シン・ゴジラの制作発表を聞いたときには、まぁ他の多くの方と同様に「エヴァどーすんだよ!」とは思ったけど、ゴジラを先に作ってくれてよかったのかもしれない。彼自身、『Q』によってEOEの頃と似たメン>タリティに落ちてしまっていたと言っていたと思うけど、それがゴジラを挟んだことで少し変わったのではないかと。シン・ゴジラをこういう形で締めくくったことがエヴァに活きてこないはずがないし、あの絶>望以外なにもない、力を合わせられるはずの「人類」という総体がなくなってしまった世界の中で、彼がどういう結末を描いてくれるのか、以前にも増して楽しみになりました。よかった。これでまたエヴァを待>てる。生きられるなと。

あと瑣末なポイントとしては、エンドロールに前田さんや鶴巻さん、摩砂雪さんといった見慣れた名前が並んでいるのはなんだか嬉しくなりましたね。このチームがゴジラをつくった!ってすげーなぁと。ゴジラ>ですよ。日本を代表するキャラクターですよ。冒頭のワタワタとお役所的な対応で後手に回る政府内の様子から、東京都心部ゴジラが熱線を放ったときの想像を絶する破壊に対する絶望感、その後の臨時政府内>での奮起と駆け引き、ヤシオリ作戦のギリギリの攻防と丸の内大破壊のスペクタクル、そして静かなエンディングからエンドロール。見落としていい場面がなかった。なんだか、見ててワクワクドキドキしたのは>もちろん、ニヤニヤも出来て、素直に嬉しいなぁという気分になれる映画だった。怪獣映画見て嬉しいってのも変な話だけど。日本でしか作れないし、庵野秀明にしか作れない、間違いなく唯一無二の映画でした。