そのねこがうたうとき

物語偏愛者の詭弁と戯言

fhána『Looking for the World Atlas Tour 2017』FINAL ― 違いを知ることがスタートだ

昨年のfhána 2nd LIVE Tourのブログで、fhána、特に佐藤さんとyuxukiくんについては、思えば初音ミク絡みの頃に触れていたんだよなぁという話を書いていたのだけど、今年の3rd LIVEでも同じようなことを思い浮かべてしまった。

過去に初音ミクという呪縛というエントリーで、あらゆる種のクリエイターたちが、初音ミクを使って曲を作ったり、あるいは初音ミクの絵を描いたり、それまで何の関連がなかったとしても、初音ミクという名の下で1つの「界」を成す、というような話を書いたことがある。その証左であるかのように、この5年間続けられているマジカルミライという「祭り」は、音楽のライブだけではなく、企画展を設けて、初音ミクにまつわるすべてのクリエイターたちの祭典であることが明確に語られている。

冒頭に書いたようなfhánaに対して抱く感情は、この「初音ミクという特異点」を越えた先に見える地平なのだと思う。初音ミクの名で一度束ねられたクリエイターたちが、初音ミクを扱わなくなったその後において、再び一緒に作品を作ったり、何かのコラボレーションを行なったりする。初音ミクが登場して10年、もうとうにその地平は現れていたのであり、今更言う話ではないとわかってはいるけど、どうにも初音ミクを愛しすぎていて、そんなこともまぁ今なお思ったり。あー、これは初音ミクの呪縛の下に一番いるのは自分なのかもしれんなぁ。別にそういう経緯でfhánaを好きになったのではなく、fhánaが好きになって調べてみたらそういうことだった、というだけなのだけど。むしろ、だからこそその偶然を面白いと思うのかもしれない。

今回のライブのトークの中で、佐藤さんが『小林さんちのメイドラゴン』最終回で小林さんが言っていた「違いを知ることは単なるスタートだ」という台詞を引いていたのだけど、これもまたブログで過去に書いているのだが、『メイドラゴン』原作者のクール教信者についても、自分はもう長いこと好きだったりする。違いを知ることがスタートである、『メイドラゴン』はまさにそういう作品だった。それを聞いて気付いたのだが、彼が商業デビュー前にウェブで描いていた、桃太郎のアフターストーリーである『ピーチボーイリバーサイド』においても、本来敵同士である人間と鬼が、またその他の種族たちがいかに共存できるかが大きなテーマになっていた。ダイバーシティを受け入れるというのは、この頃から彼のテーマだったんだなというのは、長年読んできて今日ようやく気付けた。

我々は互いに異なり、わかりあえず、その本質は孤独なのかもしれないが、それを認め合うことで先に進むことができる、絆を結べるとfhánaは歌う。生きている限りにおいて、時に誰かに触れ、離れて、また触れるということもある。そして、何年も時を経て改めて、その出会いの本当の意味を知ったりもする。大げさではあるが、fhánaのLIVEに行くたびに、これまで消費者の立場とはいえ、音楽を聴いてきた、触れてきた、そういう人生を自分もまた肯定されたような感慨を覚える。

ところでふくらはぎが痛い! この『星屑のインターリュード』もそうだし、終曲としておなじみになりつつある『Outside of Melancholy』にしてもそうなのだが、fhánaのライブは結構ぴょんぴょん跳ぶ。腕を振るとかはいいとして、そういや小刻みなジャンプって日常であんましないから結構身体にくる。でも楽しいだな、これが。あー鍛えなきゃだ。そして今回はさらにこれだ。

踊った。ダンスと名のつくもの、半端な形であれ10年ぶりぐらいにやったと思う。そして曲が終わってからもう1回サビ。いや、でもそれぐらいしてよいぞ、むしろアンコールでもっかいやってくれというぐらい楽しい曲だった。間奏の「ッハイ!ッハイ!」の高速ハイテンションっぷりといい、音源で聴いていても「今までにない曲だなー」とは思ってたけど、ライブの現場で味わうと「化物みたいな曲が出てきたな」って感じでしたよ。fhánaはこれまでもライブ向きの曲が多かったけど、これはしばらく越えられないんではと思うほどの幸福感。あとは『イシュカン・コミニュケーション』というサプライズがもう。あのコミカルな曲調にtowanaボイスがめっちゃマッチしてて最高でした。『メイドラゴン』愛されとる。

昨年リリイベ、ツアー、学祭ライブに参加して、これが実質4回目のfhánaライブでしたが、相変わらず楽しい。もう楽しい、それに尽きる。アッパーな曲調、静かな曲でも映えるtowanaのボーカル、kevinの煽り、そんなパフォーマンスに反してゆるすぎるトーク、佐藤さんの語るグループに対する強く、熱い思い(真面目な話として、佐藤さんのいつも語るアルバムに込めた、ツアーに込めた大きなメッセージというのが毎回たまらなく好きなんですよ、私)。何度足を運んでも楽しめていて、きっとこれは毎年通っていくんだろうなと思える、人生において稀有なグループに巡り会えたなと深く深く感謝します。とっても楽しかったよ。