the world was not enough

物語偏愛者の詭弁と戯言

OVA『クビキリサイクル』完結に寄せて

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「完結に寄せて」と書いてはいるが、すでに完結から1か月近く経ってしまった。もともと遅筆なのと、最近はスプラトゥーン2に驚くほど可処分時間が吸われるので、趣味がどうにもおざなりになっている。そういえばダンケルク以来今日まで映画も見ていなかったし、美術館も行っていない。最近なんとなく調子悪いのはそれかもしれぬ。

さて、OVAクビキリサイクル』が幾度化の発売延期を経つつも、全8巻を無事完結した。実はアニメのディスクを買い続ける、いわゆる「マラソン」をするのは自身これが初めての経験で(毎月7-8k円の買い物を定常的に繰り返せるって、それなりに富豪趣味だと思うの……)、要はそれぐらいに待望のアニメ化だった。このブログでも何度か書いているが、西尾維新の中でも自分は「戯言シリーズ」が特に好きで、この作品がなければだいぶ趣味が変わったりなどしていたろうなと思う。自分は「言葉」に対する偏執、偏愛を多少持っているが、その一因を担う作品ではある。

しかし、8巻という巻数はどうだったのだろう。いきなり内容以外の話になってしまうが、仮に今後シリーズが続いていくとして、ちょっとこの刊行スタイルは厳しく感じる。クビキリサイクル、それは全6編からなる戯言シリーズの最初の1編に過ぎず、このあとページ数としては、アニメ化済みページの6倍以上が残っている。すると単純計算で円盤は50枚近くになる。毎月1枚出すとして、各編の間にブランクも挟むから5〜6年は完結までかかりそう? うーん、なかなか。

とはいえ、そもそもにして諦めかけていたアニメ化が実現された、それだけでもやはり嬉しいのだ。それは自分だけではなく、戯言ファン全体の悲願と言っていいはずだ。今夏の西尾維新大辞展でも、開館30分後に戯言関連のグッズはほぼ売り切れていて、どんだけ飢えてんねん戯言クラスタという感じだった。そろそろ一般販売で公式グッズ供給してくれマジで。でもアニメは渡辺明夫キャラデだから、ひょっとして竹イラストでのグッズって出ないのかなー……。現状出ている「一番くじ」やフィギュアは渡辺イラストなんだよね。

ああ、またアニメ本編から話が外れてしまった。そう、アニメ化されたというだけで嬉しいし、Kalafinaの音楽を用いた、全体を通じた静謐な雰囲気は、金持ちの有する孤島である「鴉の濡羽島」を舞台としたこのミステリーにとてもマッチしていた。これはひょっとして、話が変わるごとに雰囲気を変えてきてくれるのではなかろうか?と思うとちょっと楽しみ。また、さすがに台詞すべての再現は(量的に)無理ではあったけれど、1冊に8話もかけてくれただけあって、とても丁寧にアニメ化しているなと感じられて、その点は実に嬉しかった。

不満としては、シャフト✕渡辺明夫でありながら、あえて物語シリーズと作りを変えてきたことが正解だったのか、わからない。この作品では、物語シリーズの特に序盤で多様されていた、テロップがカットインする演出が一切使われない。これについては以下の監督インタビューで、意図的に避けていたと明言されている。

しかし物語シリーズ以上に、戯言は「言葉」が重要な作品だと思うのだ。もちろんクビキリサイクルの時点ではミステリーの色が強くもあるが、この作品はどこか、リアルで進んでいる物事以上に、言葉の上で話が進み、言葉をもって人が動かされ、人が死んでいく作品だ。それが故に「戯言遣い」の異名を主人公が取っているわけで、言葉を台詞で伝えることにこだわるのも良いが、この作品でこそ手段を選ばず「言葉」を印象づけるべきだった、のではないかな。各章の冒頭に挿入されている意味ありげな警句だけはテロップ挿入だった、あの点は良かったのだけれども。

もう一つ、これは今更どうにもならないが、渡辺さんのキャラクターは可愛い、可愛すぎるぞやはり。玖渚があんな健康的にぴょんぴょんしてるとは思えないし、いーたんの眼のハイライトも即刻消して欲しい。アニメ化告知があったときの、竹イラストのいーたん、これだぞこれ!

愛が強い、それ故に不満も起こりやすい、そんなアニメ化が今回だった。でも続きが見たくないと言えば当然嘘になるし、クビキリだけでシリーズが途切れるのもファンとして虚しい。動く零崎人識が見たいし、シリーズ後半の変態人外バトルもやっぱり動くところが見たいのだ。俺の初めての円盤マラソン、どうか報われてくれと願う。