the world was not enough

物語偏愛者の詭弁と戯言

『ヨコハマトリエンナーレ 2017』

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近年頓に増えてきた国際芸術祭、魅力は街のあちこちに散らばる展示会場を巡りながら、街の観光もできる(街からすれば、観光資源へ人を呼べる)点にあるのはもちろんなのだが、横浜という街は言わずもがな魅力が多すぎるなぁというのが、ヨコハマトリエンナーレに来るたび地味な悩みとなっている。今回もうだうだと寄り道しながら廻っていたら、開港記念会館には結局行きそびれてしまった。もったいない。

今回のテーマだった「島と星座とガラパゴス」、インターネットやポピュリズムの時代における孤立と接続性を背景としているそうだが、正直前回の「世界の中心には忘却の海がある」とニュアンスは似ている気がしていた。隔てられた彼岸と此岸をアートが結ぶというのは、国際芸術祭のテーマとしては汎用的と言えなくもない。ただ、実際に足を運んで身に沁みたのは、「孤立」というテーマの強さの方だった。

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最も顕著にそれを感じたのが、マーク・フスティニアーニのこの作品だった。模したのは坑道のようなトンネルのような、とにかく精巧に作られていて、第一印象は「すっげー!かっけー!」という感じなのだが、この未知は鏡を上手く使って無限に奥へと伸びているような表現になっていて、見ているうちにいつの間にか眼が離せなくなってくる。真っ暗な道へずるずると飲まれそうな感覚と、その先に誰の姿もない闇が、言い様のない孤独を覚えさせる。

そして今回は、311関連の展示が目につく。畠山直哉による陸前高田市の360度パノラマ写真は、ただ被災現場を大写しにしただけのそれではあったが、人影が一つもない、荒れ果てた情景がぐるりと自分の周りを取り巻く様に、つい言葉を詰まらせる。

あるいはアイ・ウェイウェイChim↑Pomらが参加する、『Don't Follow the Wind』と名付けられた、今なお福島県の帰宅困難区域で「開催中」の美術展。場所が場所だけに、この美術展に足を運ぶことは現在誰にもできないが、帰宅困難区域指定が解除される日まで、展示は続くのだという。誰も現地で展示を見ることはできない。だがそれ故にアートとして強いメッセージを発するというのは、なんとも逆説的ではないか。ちなみにヨコトリでは、現地の360度VR映像をヘッドマウントディスプレイで閲覧できるという形で「展示」が成されていた。

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ところで。前回がどうだったかは覚えていないし、意図的な配慮なのかもわからないが、今回は作品や制作者を解説するパネルがほとんど見受けられなかった。「孤立」した異質な他者と「接続」するという営みは、本来第三者の解説などない不意打ちのようなものなのだと思う。