誰が何と言おうと私はボカロが好きだ

や、たぶん釣りですけどねコレ。それでも反論したくなるから「好きなもの」ってのは厄介ですよね。別に好きじゃなくても反論のしがいがあるエントリーですが。実際、330ものブクマがついて、ボカロの好き嫌いを問わず恐ろしい数の反論が述べられています。感情的好悪などにあまり影響されず、おかしいものは理論的に批判できるあたりがはてなーの良さなのかも。

まァ価値観は人それぞれですけどね。「俺は人が熱い魂を込めた歌声しか認めねーんだよ!」って人がいたとしても、それはそれでその人の勝手だと思います。だけど、この増田は最後に言ってはいけないことを言った。

本当におまえら頭冷やして考え直せよ。おまえらは馬鹿か、またはブームに乗せられてるだけだ。まあそれを馬鹿と言うんだがな。

別にボカロをバカにするのはどうぞお好きにという感じですが、それを好きな人をけなすのは良くない。何であなたなんかに僕が聴くものを規制されなくてはならんのか。失敬だなーというか、狭量だなーというか。例えブームに乗せられているだけだとしても、別にいいじゃない。その人が好きでやってるんだから。「好きだ」という感情を貶すことは、何より醜いことだと思っております。

僕がVOCALOIDに魅せられた一番の理由は、キャラクターとしての初音ミクの素晴らしさでも、藤田咲の声質でもなく*1、アマチュアが切磋琢磨して音楽を生み出していく場を築いたVOCALOIDの可能性なんです。夢に満ちたこの技術が好きなんです。supercellの疾走感のある曲調が好きなんです。純粋に音楽をやってきたものとして、初音ミクが好きになったんです。だから増田があたかも音楽を知っている側の立場に立って反論を展開しているのは、ちょっと残念だなァ。

以下、適当に反論。

まーブコメでもう反論完成してますけどね。

初音ミクの機械の声

中身は人間*2の声だぜい。それを機械で調整してるだけ。そういう意味では特に目新しいものでもないのかも。

誰だってあれ聞いて機械だって言うのは一瞬で分かる。それで感動するって本気で馬鹿なんじゃない?

機械だってわかるなら感動しないはずだろ、という論旨が理解不能。逆を言えばボカロが出た当初はみんな、「機械*3なのにこんなに人間に近い歌ができる!」ということに感動した、すなわち機械だからこそ感動したわけで。それに歌が好きで買う人ばかりじゃないと思うし。曲とかさ。supercellは曲の作りが素晴らしいし。

人間の声と機械の声が区別つかなくなってる

さっき「誰だって機械だとわかる」と言ったジャマイカ! というか少なくともボカロ厨には、区別ついてないヤツいねェェェよ。別に人間の声だと騙されて買ってるわけじゃないよ。機械だとわかっていて、それでいて素晴らしいと思うから買うんだよ。

あるいは感覚的な意味で、感動の対象として肉声と機械の音の差異がなくなっているという意味かもしれない。これについてはブコメでかなり触れられてるけど、ゲーム音楽は? マスタリングはいいの? そもそもDTMの全否定じゃないか??

ニコニコ動画(こんなもの見たくなかったが)

この時点で理論的にではなく、感情的に嫌ってるオーラ出まくり。

初音ミクの曲を人間が歌ってるのも見た。これならまあ100歩譲って納得できなくもないが、ただ当然プロの歌手とは比べるのも失礼な程だし、無料ならまあ一回聞いてもいいかな、という程度だ。

プロってまずどこを指してるんだろう。単にメジャーアーティストを指すなら歌唱力を評価できない人間もいると思う。というか何故にプロ原理主義だ。アマチュアでも上手い歌い手は腐るほどいるし、稼げる音楽がすべてではないし。むしろ増田こそ本物を知らないニートじゃないか。まァさして上手くない動画に絶賛コメがつくこともあるけど、絶賛している人はその人なりに好きな要素がその歌い手にあったわけだし。批判できることじゃない。

もっと人間が本気で歌ってるCDを買うべきなんだよ。

本気の歌が聴きたいならCDじゃなくてコンサートに足を運びなさい。嫌って言うほど感動できるから。

プロの歌手が毎日どれだけ苦労してるか知ってるか?

僕はアマチュアなりに歌い手の経験があって、毎日筋トレもボイトレも体調や食事の管理もしていたことがあったけど、だからって「苦労したから歌を聴いてくれ」なんて思ったことはない。苦労したけど、結局完成できなかった歌の方が多いし、そういう歌はむしろ、聴いてほしくないとさえ思う*4。その歌がダメだと思うなら帰ってもらっていい。聴いてくれるならありがとう。そういうもの。「この苦労が報われたい」とか思いながら歌っている歌手なんていないから。余計なことを言わないでほしい。

そういう方が心を込めて歌ってるCDを買わずに、機械の声を買う。

初音ミクだってクリプトンがどれだけ苦労して、心を込めて開発したか。どれだけの人が心を込めてミクオリ曲を作ってきたか。歌手の苦労をわかってくれというなら、そのことも忘れてはいけない。


第一、肉声の歌と初音ミクを同列のものとして語っている時点で少しずれている気がします。まるで声楽と器楽を比べて、人間の体を生で使っているから声楽の方が素晴らしいと言っているようなものです。まず、音楽のジャンルからして違うのだから比べようがない。初音ミクは歌声の代替*5ではなく、DTMの進化系、あるいは派生としての位置づけです。人間の歌声に勝負をふっかけている代物ではありません。

*1:勿論、ミクのキャラも声も好きですよ。

*2:藤田咲

*3:この言い回しが陳腐で嫌なのだが。機械って……。

*4:それでも一生懸命に届けるけど。

*5:としての側面も勿論あるとは思います。例えばボーカルの見つからないコンポーザーが利用する場合とか。