the world was not enough

物語偏愛者の詭弁と戯言

2018年3月 - キングスマン / 未必のマクベス / 恋は光 / ガルパンVariante 他

キングスマン : ゴールデン・サークル


映画「キングスマン ゴールデン・サークル」日本版予告 第2弾 Red Band Ver.

年明けすぐにでも見ようと思っていたはずなのに、機を逸して終映ギリギリに見る形になってしまった。滑り込みセーフ。

よく「2作目は駄作」とは言うが、これもまぁイマイチ、と言わずとも、前作ほどではなかった。キングスマンシリーズは、スーツとキレッキレアクションのギャップが最高にクールで、ド派手に暴れ回るアクションにこそカタルシスがあると思っていたのだけど、本作は話がとっ散らかっていてまとまりがなく、突き抜ける感覚がない、と言ったらよいのか。前作ではエグジーが粗野で粗暴な青年から、紳士として上流階級の横暴を食い止める一連の流れにこそ爽快感があった(って、 自分で書いてた )わけで、そういう筋がないと単なる下品な映画にも成り得てしまう。

とはいえファンムービーとしては最高。コワモテだったマーリンの泣き上戸な一面が見られたり、前作でいよいよ実現しなかったエグジーとハリーのタッグがついに見られたり、ファンが見たかったであろうものをきちんと盛り込んでいた。ハリーがエグジーの父親役として結婚式に参列するラストシーンなんて、もう感無量ではないですか。

しかし、こんなに必要だったのかよというレベルでキャラが死にまくってるし、今後さらに展開を広げていくつもりはあるらしいけど、どうなっていくんだろうというのは不安でもあり、楽しみでもあり。

未必のマクベス

未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)

未必のマクベス (ハヤカワ文庫JA)

書店でよく平積みされているのを見かけて、気になっていた1冊。出だしこそ文学的だったが、中盤少し前ぐらいの急展開からは、一気にエンターテイメントとして加速していった。誰が味方で誰が敵なのか、主人公はどういう行動を取るつもりなのか、そして誰が生き残るのか。後半半分に関しては、久しぶりに夜更かしして一気に読み切るってやつをやった。

しかし「犯罪小説」としてはとても楽しめたものの、「初恋小説」という観点だと、主人公の心理描写が極端に少ないこともあり、感情移入しきれなかった。彼がなぜああいう行動を取る必要があったのか、というところに納得感がない。帯には「本の形をしたラブレター」とあったが、それは主人公からヒロインに宛てたそれとしては読み取れなかった。ヒロインから主人公に宛てたそれ、と読み取ると腑に落ちるし、むしろ物語全体が大きなスケールを持って立ち現れすらするので、その解釈が正しいのかもしれない。

それにしても文体が好み。読みやすいのだけど、それでいて丁寧で優しい。

恋は光 / モブ子の恋

最近は恋愛漫画の気分で、今月から2つほど読み始めた。

主人公の眼には、恋をしている女性が光って見える、という特殊能力設定?のマンガ。正確には「恋をしている女性が光って見える」らしい、というところで、ジョジョやHUNTERのように能力の定義があるわけではないから、あくまで主人公がそういう能力だって解釈している、という話でしかない。だから、もしかしたら「光って見えるのは、恋をしている女性ではないのかもしれない」という疑念もあり、その能力に振り回されてドラマが転がったりもする。

でもその能力を除いては非常に甘酸っぱい普通にラブコメ。能力の存在故に、ある程度メインキャラの思いがオープンな状態で話が進むのが特徴的で、見えない思いを転がそうとヤキモキする、というよりは、それぞれの思いが絡んで、思わぬ方向に変わってしまったりするのが予想を外れていって楽しい。全7巻完結済みで、2巻まで読んだけど、ゆるゆる読み進めていくつもり。

こちらは3月に2巻が出たばかり。タイトル通り、目立たないモブのような女性の恋の話。1巻の時点で、こちらもある程度内情がオープンになるので、それを踏まえてどう転がるのか、というか、「モブ」故になかなか転がらないことにヤキモキしながら見ていくことになりそう。

ガールズ&パンツァー 劇場版Variante 3

異説ガルパン劇場版。劇場版では描かれなかった各キャラの心情や行動を補う形で進んでいくマンガの第3巻。1巻、2巻も疑いようのない傑作だったけど、3巻は2回泣いた。

1回目はまさかのボコランド。映画では島田愛里寿の顔見せと、ギャグシーン程度の意味合いしかなかったあのシーンが、まさかここまで奥深い意味を持つことになるとは。2回目は会長が「大洗 vs 大学選抜」の試合実施を約束させた直後、文科省の廊下で会話を交わすしほと会長という、映画にはないシーン。杏の役人との交渉術を見て、「みほもあのようにして巻き込んだのか」と迫るしほに対して、杏の語る言葉がもう泣けて泣けて仕方ない。作中でも「暗躍」して真意を語ることが少なかった会長だけに、ここで書かれたことが彼女の真実だったとするなら、なんというか、改めてすべてが救われたような思いがする。

くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質

建築家・隈研吾氏の個展。彼の作品と言うと、太宰府天満宮のスタバのような、木材が大胆に使われたファサードを彷彿とするのだけど、今回の展示を見て、木に限らず「物質」にこだわる方なんだなというのを知った。

http://japan.digitaldj-network.com/archives/51962145.html

土、竹、石、ガラス、瓦、などなど。建築とは本来自然からすれば異質なものだが、空間に存在する以上は、自然と共にあるものでもある。彼の作品がああいうファサードを持つのは、自然界の物質を人工物と自然との境界領域に配置することで、建築物と周囲の環境との関係性を築き直すことにあったのかもしれないなと思う。

新しい物質との出会いから, 新しい時代がはじまる. なぜなら、当たり前のことであるが, 建築は物質で作るからである. 物質によって, 建築は決定的に規定されるからである.

彼は作品数も多いので、旅先で見かけることも多かったのだけど、まだまだ見たことのないものも多い。 TOYAMAキラリ には一度行ってみたいところだし、渋谷再開発の完成も楽しみ。