the world was not enough

物語偏愛者の詭弁と戯言

2018年9月 - アニ雑団終了 / 犬はどこだ / ぱらのま 他

松井恵理子松嵜麗の声優アニ雑団

終わってしまった。アニメはそれなりに見るけれど、声優事情には滅法弱い自分がここ数年一応挙げられる「推し声優」が松井恵理子で、彼女がネットで番組を持っていると聴いて AbemaTV のアプリをインストールしたのは、さていつの頃だったろう。仕事の都合もあって、毎回見られるというわけではなかったけれど、毎週夜にアニ雑団をやっているというのは当たり前の感覚になるぐらいにはよく見ていた。終わると思っていなくて、いやこういうのはいつか終わるに決まってるけど、終わるとは思っていなかった。

タイトル通りアニメ、や漫画、ゲームに関して、声優をゲストに呼んでほぼ雑談している番組で、なにか特別なことをしているというわけではないんだけど、その普通な感じというか、肩肘張らずに見ていられるのが、平日夜に見るには心地よかった。女性声優というと昨今はアイドルのような扱いになっていたりもするけれど、そういう売り方ではなくて、松井恵理子松嵜麗の2人は「オタクとして」好きなことを好きなようにトークしていて、彼女たちが楽しそうだから見てると楽しいっていう、そういう番組だった。たぶんだけど、オタクはオタクがオタク語りしているのを見たり聴いたりするのが好きなんだと思う。たまにやるカラオケスペシャルも好き放題だったし、ゲストで来てる永野愛理が、アイマス声優2人の前で『あんずのうた』からの『Star!!』唄い出すみたいなカオスもあったりして楽しかった。

別に声優の番組が見たいのではなく、この2人だから見ていたので、代わりに見られるものも浮かばなくて、なんだかポッカリとこの番組が占めていたポジションが自分内で空いてしまった。特番復活とかしないものかな。いやぁ2年半、おつかれ様でした。

犬はどこだ

犬はどこだ (創元推理文庫)

犬はどこだ (創元推理文庫)

米澤穂信作品というとアニメ『氷菓』はとても好きで、続刊は気になって読んでみたこともあるんだけど、そんな程度で。そもそもミステリー自体あまり好きなジャンルではないというのもあるし、その中でも「日常の謎」というスケールの小さな話に、いまいちどう入っていけばいいのかなぁというのがわからずにいた、というのがある。今回突如として『犬はどこだ』を手にとったのは、 阿久津隆『読書の日記』 の中で読まれていたから、というただそれだけの理由。

結果としては面白く読めた。「日常の謎」というのは確かにスケールは小さいのかもしれないが、米澤作品が面白いなと感じたのは、スケールが小さいからこそ、その「謎」を解いていくなかで、当事者の心情というミクロな対象に迫っていくことができる。本作の主軸は「行方不明の孫娘を探してほしい」という依頼に基づき奮闘する新人探偵、というものだけど、会ったことのないその娘に対し、謎を解いていくなかで彼女の置かれた状況、心理状態というものが少しずつわかっていき、それに自分を重ねてみたりする、そんな過程がとても繊細で、そういえば『氷菓』が好きだったのも、こういう、なんというか優しさみたいなものが裏側にあったからだよな、と思った。そして心情を汲み取ったところで、熱血主人公のごとく踏み入りすぎるわけではなく、少し離れたところからそれを見つめる、理解した相手の心情を反映する先は、あくまで「自分はどうなのか」という内向きの視点というのがよい。もっとも、本作のラストは『氷菓』と異なり青年主人公ゆえに、なのか、少しダークな結末で、こんな一筋縄ではいかない依頼から始まってしまった、彼の探偵としての行く末が見てみたくなったりもした。

なんだか、『氷菓』をもう一度見たくなった。京アニは原作の持ち味を引き出してアニメ化するのが上手いんだなぁと、今になって思える。最近話題になった米澤作品『王とサーカス』や、その10年前の物語である『さよなら妖精』を Twitter で勧められたので、こちらも読んでみたい。

Augusta Camp 2018

Image from Gyazo

スキマスイッチ山崎まさよしらを要するオフィスオーガスタのアーティストが一同に介する野外ライブ、Augusta Camp 2018 に行ってきた。オーガスタと言ってもピンと来なければ、スペシャルユニット『福耳』の面々、と言えばわかるだろうか。自分も別に傾倒しているわけではないが、友人に誘われて行くことになった。

「推し」がいなくても音楽は楽しいし、それが真っ青な空の下、富士山の麓での野外ライブとなると最高に爽やかだし、ビールやコーヒーを味わいながら音楽を聴ける、その自由な空気がとてもよかった。スキマスイッチはさすが会場を盛り上げるのが慣れてて上手いなーという感じで、元ちとせは子どもの頃にはあまり響かなかったのだけど、大人になってから聴くととても染みるし、声のみならず、ダンスとまではいかない緩やかな身体の動きが音楽の中を実に自然に揺蕩っていて、音楽と一体となっているかのように見えて格好良かった。知らなかったところだと浜端ヨウヘイが190cm超の大柄な声からとても繊細な歌声を放つインパクトが強くて、来年再メジャーデビュー?とのことでちょっと気になったりした。

あとこれは完全にオタク目線だけど、山崎まさよしの『one more time, one more chance』を生で聴けてしまったのは、きっとこの場所に誘われなければ一生無い機会だったろうなぁと。20年近く前の曲なのに、当時の歌声からまったく遜色なくて、しばらく立ち上がれなかった。

ぱらのま(2)

ぱらのま 2 (楽園コミックス)

ぱらのま 2 (楽園コミックス)

先日サンライズエクスプレスの件で紹介した kashmir 『ぱらのま』の2巻がいいタイミングで発売に。今回もまったく失速がなくて最高だった。目のつけどころが相変わらず素晴らしい。王子駅から高円寺を経由して新宿駅まで行くという23区最長路線のバスの話とか、盤洲干潟とか。

Image from Gyazo

一番ツボだったのがここ、山梨県石和温泉に地図を見ただけで「あんまり降りる魅力がない」とぐんにょりしているシーンで、石和温泉は昨年春に訪れていただけにああ、わかるわかるという感じになって笑った。確かに駅周辺1~2km圏内は結構整備されていて歩いていて面白みがあるというわけでもないし、幹線道路が近かったりするし、温泉街も案外ひっそりとしているしで、ぱらのまの彼女が求める感じではないかもしれない。とはいえ駅ナカにワンコインで飲めるワインサーバーがあったり、レンタサイクルで信玄餅工場へ行けたりするし、楽しい要素も多いけど。

彼女の目的地を定めず旅をする、旅をしているうちに行きたいところができるだろう、なんとかなるだろうという考え方はとても好きで、先日の島根旅行もわりとそんな感じで動いたんだけど、観光地を巡るというより、その街の日常や過去の中に、面白いものって詰まってるよねぇと、そんなことを思う。

ふらいんぐうぃっち(7)

年に一度のお楽しみみたいな感覚になってきている。次は来年かーと思うと遠いのだけど、今巻も「次は来年かー」と思って待ってたら意外に早く出たような??? いやぁ、1年が早い。

ポストよつばと、と呼ばれたころもあった気がするけれど、あちらがあくまで子どもの、よつばの行動を主軸にした、「子どもから見た世界」という作品なのに対して、本作は徐々に徐々に「魔女がいる日常」という世界観が確立されてきて、雰囲気としても独特のものが固まってきたなぁと感じるようになってきた。青森という実在の場所に、魔女がいるかもしれない、それもそんなにカッコいいものでもないのかもよ、という世界は、ちょっとうらやましく感じるもので、別に魔女はいないだろうけど「青森行きてぇなぁ」と毎回思う。アニメ2期やらんかなぁ。