2019年11月 - スパイダーバース / ポケモンシールド / ヒトリエ 他

Tokyo 7th シスターズがサブスク解禁されて、最近は Spotify でそればっかり聴いている。好きな曲をポチポチと Like して、それを頭から順にずっと。もちろん CD は持っているんだけど、 CD の音源は Google Cloud Music に上げているので、アプリを使い分けなくちゃならなくて、 Spotify で統一して聴けるのはちょっとしたことだけど嬉しい。それにサブスクで聴けば再生数が上がるし、ナナシスへの投げ銭にもなるしね。しかしアルバムもちゃんと全曲入っているので、 (EMO edit) のような別ボーカル版も入ってて素晴らしい。吉岡茉祐 as 鰐淵エモコの色気と冷たさと熱さが同居する声、たまらんですね。

あと d アニメストアを契約した。前回書いたときからの『NARUTO』熱が冷めてなくて『BORUTO』を毎週見るようになってしまいました。他にも『機動警察パトレイバー アーリーデイズ』とか、『HELLSINGOVA とか、『涼宮ハルヒの激唱』とか、結構マジで?!って思うものが入ってて楽しめそう。しかし今月は後述するポケモンシールドもまだクリアしてないし、テッド・チャン『息吹』も出るし漫画も積んでるし、アニメで寝正月〜〜という感じにはきっとならなさそう。

スパイダーマン:スパイダーバース


映画『スパイダーマン:スパイダーバース』本編映像<スパイダーマンは1人じゃない編>(3/8全国公開)

Amazon Prime Video で視聴。公開当時見に行く時間が取れなくてやっと見た形だが、これこそ今年映画館で見なくちゃいけなかった1本じゃん!とむちゃくちゃ後悔した。最高以外の言葉がない。

とにかく動く。ひたすら気持ちよく動く。キャラクターの造形はどう見ても 3D アニメーションのはずなのに、時に実写ではないかと見紛うぐらいに綺麗で躍動感のある動きを見せる。実は実写映画のスパイダーマンシリーズは一切見たことがないんだけど、ただの一般人が尋常ならざる力を手に入れたことの象徴として、あの摩天楼を自由に飛翔していくシーンというのは、この上なく見事に機能するんだなということを今回初めて理解できた。力を手に入れても、それに見合った自身の力量も覚悟もなかったマイルスが、様々な困難を乗り越えてやがて「ヒーロー」になる、ド正道でド王道な物語だった。ピーター・B・パーカーとの関係性もなんというか、実に日本のオタク好みという感じでそそられた。

動きだけではなくて、アニメーションとしてとにかくチャレンジングで、各「スパイダーマン」の出自となったコミックがカートゥーンだったりモノクロだったりという世界観の違いが、上手いこと絵に落とし込まれている。漫画的でありながらアニメーションで、また実写スパイダーマンの表現も織り込まれているという、そのバランスが不思議なぐらい絶妙に成り立っていて爽快感があった。アメコミの国が、アメコミをアニメ化するということにすごく真剣に取り組んだ1本だと思う。今年見たアニメで1本選ぶなら、今のところこれです。

JOKER

ヒース・レジャーが演じたジョーカーと比較する声も多いわけだが、実際のところ『ダークナイト』と正反対の映画という印象を受けた。

クリストファー・ノーランの映画は「理屈で進む」と考えている。それは『インターステラー』にせよ『インセプション』にせよ、もちろん人間のミクロな感情にもフォーカスされるが、全体を駆動していくのは世界や社会を構成するシステマティックな理屈のほうだ。今作が徹底的にアーサーの苦痛、屈辱、孤独でドライブされ、彼自身自分が社会へ影響を及ぼしていることにあまり当初は関心を持たなかったのとは、まるで対照的に。また『ダークナイト』でジョーカーは「お前(=バッドマン)が俺を完璧にする」と言い放ったが、今作ではジョーカーの存在がブルース・ウェインに火を点けたところで終わっている。

それはそれとして、シンプルに映画としてよく出来ていたし、最後まで目を離すことができなかった。アーサーは自宅までの長い階段をずっと登り続けていたが、ジョーカーとなった彼は、同じ階段を軽やかに踊りながら「降りて」行った。あれがハッピーエンドじゃなくてなんだと言うのだろう。

ポケットモンスター シールド

当初買うつもりはなかったのだけど、月ノ美兎と樋口楓の実況見てたら欲しくなって買っちゃった。ブラック以来のポケモン購入です。

決め手の1つがワイルドエリア。本作ではシンボルエンカウントが採用されて、これまでの「草むらを歩いてたら突然ポケモンが出てくる」というムーブも残しつつ、ポケモンがダンジョンの中を目に見える形で闊歩するようになった。これの最たるものがワイルドエリアで、だだっ広い草原にかなりの種類のポケモンが自由に過ごしており、レベルも1桁台から40越えまで様々。そしてこのエリアに、なんとジムバッジを1個も持ってないうちから行かれてしまうというのが大きなポイント。シナリオ進度に応じて野生ポケモンが強くなるというご都合主義が通じず、下手を打てば Lv.8 のポケモンバンギラスはかいこうせんをぶっ放してくる。初代からプレイしてきたけど、欲しかったのってこのリアリティだったのかもしれないと思う。

もう1つがブティックとヘアサロン。服を買い、メイクをして、髪型を変えて髪を染めて、自由自在におしゃれができる。昨年『カスタムキャスト』がリリースされたときに、多くの男性オタクが「バ美肉」を楽しんでいたけど、ついにポケモン世界でも好きな見た目の美少女になれる時代の到来である。これがなかなかどうして楽しい。街によってブティックで売っている服が違うので、それを楽しみにシナリオを進めていると言っても過言ではない。

捕獲と対戦をメインに据えつつ、これまでも様々なサブ要素を加えていたポケモンだけど、本作はその割合がとても大きく、ポケモンと共に生きる、生活するという感覚がわりと強い。ハードが Switch になって、綺麗な 3D で自分もポケモンも描画されるようになったことが大きいのかもしれない。言わば「バエる」ポケモンという感じで、対戦に入れ込まなくてもとても楽しめている。

シャーマンキング

Image from Gyazo

開幕2日目に行ったらチケット購入に20分近く並び、中はなかなか前に進めないほどの盛況っぷりで正直驚いてしまった。ぶっちゃけだって打ち切り漫画じゃん?みたいに侮っていた節がある。武井先生本当にすみませんでした。

自分がジャンプ読み始めた、ちょうど20年近く前に最初に好きになった3つの漫画が『ONE PIECE』『HUNTER×HUNTER』『シャーマンキング』だった。シャーマンキングはオーバーソウルなどの少年漫画らしいカッコよさがありつつ、ただバトルにおける強さを追求することが至上命題にならない、「少年漫画らしくない」ところが好きだった。シンプルなバトルのヒエラルキーだと、この漫画ではハオが圧倒的なトップだ。そして稀有なことにバトルインフレは終着点まで辿り着かず(どころか葉の巫力は仲間のチョコラブにすら劣るわけで)、ハオは最後まで最強で在り続ける。そう、この漫画で重要なのは数値的な上下や戦いの強さじゃない。それが後に加筆された完結編でも貫かれていたのは、すごく嬉しかったのを覚えている。

本作の原画には、とてもホワイトでの修正が多くて、武井先生は何度も描き直しをされる方なのかな、などとぼんやり考えていたのだけど、その場にいた別の方の会話を聞いて気付いたが、それはどうやら「完全版修正」のようだった。ああ、確かにこのコマ完全版で描き変わっていたな、と後から気付いたりしたが、それにしても膨大な修正量に及びそうで恐れ入った。打ち切りからの「蘇り」と、真の完結。その過酷な行程を筆致から読み取ることができる、いい原画展だった。

ヒトリエ『HITORI-ESCAPE TOUR 2019』東京 追加公演

Image from Gyazo

ヒトリエは変わらずカッコいい。これからもきっとずっとカッコいい。それが確認できた夜だった。

シノダがヒトリエに誘われて、 wowaka から送られたデモテープを聴いたとき、「俺は伝説のバンドの一員になれる」と思ったと話していた。ヒトリエはまだ伝説にはなっていないのかもしれないが、伝説にならなくてはならない。伝説になってほしいし、きっとなるのだと信じている。