図書館で、「文具と雑貨」という表紙に釣られて開いたOZ magazine。手書き風で描かれた蔵前のマップに、カキモリを初めとした文具・雑貨の店がいくつか並んでいて、並んでいる店には入っていないのだが、IT企業が始めた書店である 透明書店 もそういえば蔵前であり、行きたいと思いながらもあまりあの辺りに行く用がなく、延び延びになっていることも思い出すが、窓の外に目をやるとひどい日差しなわけで、街歩きをするなんていう気分には到底ならなかった。
歩くのは好きで、東京23区内だと地下鉄の駅1駅や2駅分ぐらいなどはとても近い、わりと10分で歩けるような距離にありがちであり、それぐらいであればぐいぐいと歩いていろんな店や路地を覗いていくのが好きな質だが、夏はもう無理だ。街歩き好きには最低の季節になってしまった。この日は 本の森ちゅうおう に来ていて、ここは最寄りの八丁堀駅から徒歩1分を謳っている……ところ、実際は2〜3分はさすがにかかった気がしたが、その短時間歩いただけでもとてもつらい。もう日本の夏は、真夏は外に出るべきじゃないとしか思えなくて、せっかくコロナ禍で普及したリモートワークをこの季節は最大限に活かすべきだと思うのだが、社会の可逆性というものは意外なぐらい強かった。外出が健康を害するという点では、この猛暑もあのパンデミックも共通しているように思ってしまう。
なので歩くのは好きなはずだが、ひたすら億劫になっている。あまり遠くへ行きたくないし、駅から歩くような場所にも行きたくない。できれば地下通路で行ける場所や、駅直結の施設で済ませたい。行きたいところがあっても、駅からの距離で行くかどうかを判断してしまう。本の森ちゅうおうも、自宅から行くなら徒歩10分程度のところにある別の駅のほうが行きやすかったのだが、歩きたくなくて乗り換えを増やしてでも徒歩1分の八丁堀駅を使うことにしていた。
日傘は昨年から本格的に使い始めた。2022年ぐらいに最初のを買った記憶があるが、その頃はまだこだわりもなくて、適当なものを適当に買っていて、それほど大きな効果は感じられず、あまり活用していなかった。昨年限界を感じて、しっかりと調べて一級遮光の良さそうなものを買ったところ、段違いに涼しくて手放せなくなった。男が日傘を使うのは恥ずかしい、みたいな認識がいまだに世間にあるのかは知らないが、そんなことを考える余裕がない。暑い、涼しい、というのもあるが、この季節の直射日光に暴力的なものを感じる。あれを直接浴びるのが耐えがたい苦痛に思えるし、絶対身体に悪い。海とか山に行っているときとかなら良いかもしれないが、大都会の真ん中で浴びる必要性もないだろう。これは日傘を使わないと無理だ。必需品だ。それでも外を歩くのは10分が限界、みたいな気分だし、やむなく歩かなくてはならない場合の最終手段が日傘、みたいになってきている。
本の森ちゅうおう、地元の人が多いのか、館内はそれなりに賑わっていて、夏休みの影響もあってか子どもの姿も非常に多かった。暑いので食事も併設のカフェで済ませたところ、何の気なしに頼んだツナメルトのホットサンドがびっくりするほど美味かった。外がガリガリと言っていいぐらいにしっかりとした歯ごたえになるまで焼けているのに、パンの内部はもっちりと柔らかさが残っていて、どんな魔法を使ったんだろうと不思議だった。


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