タイムアウト東京が 東京、2025年のベスト書店10選 という記事を出していた。今年オープンして、そこここで話題を見かけたような店がセレクトされており、いくつかは自分も行った経験がある。
出版不況と言われるなかだが、最近はユニークな独立系書店が増えると同時に、何らかのテーマ性を持たせるなど、趣向を凝らした大型書店が増えてきているように感じる、とは 一番上にレストランがあり、その一つ下のフロアに大型の書店 - the world was not enough でも書いた、と思ったら別に書いてはいなかった。池袋にある、地下1階から地上9階までぶち抜いて本屋になっているジュンク堂とか、同じく複数フロアにまたがっている新宿の紀伊国屋書店、丸の内の丸善などももちろんいいんだけど、今の時代にそこまで大きくフロアを取った新設の書店ができる、というのはたぶん現実的ではなくて、商業ビルやオフィスビルの一画、あるとしても2フロア程度で作って行くときに、ただ蔵書量を増やすだけではなく、何かしらのアピールポイントを持って行くことは必然なのだと思う。
本は比較的読むほう、だと思うけど、それでも未知の本との出逢いなんてのは全然あるし、うまい具合なセレクトやレコメンドは大歓迎ではある。自分が好きな本に、自分の力だけで辿り着けるとは限らないし、だから普段見ないようなジャンルが特集されていたりすると、何か興味を惹くものがないかと、つい覗いてしまう。その点でいくと、大型書店チェーンのなかでも好きなのはくまざわ書店で、あそこはよく売れるであろう漫画や文庫本などよりも、いわゆる単行本の特集棚や新刊棚を店頭の一番手前に置いていることが多くて、「売りたい本」をきっといろいろと考えて並べているんだろうな、という感じがすごくいい。そこから一歩奥に入ると、そんなに爆発的には売れないだろうこれは、みたいな歴史や外国文学の特集棚があったりするのもまたいい。
先の10選のなかで大型書店と呼べるのはmagmabooksとBUNKITSU TOKYOの2つだと思うが、いずれも行ったし、いずれもユニークさを感じつつも、普段遣いする書店としても満足できた。特に思ったのが、いずれもオフィスエリアの近くにあるというのが羨ましい。BUNKITSUはNewomanという商業施設のなかだが、あのビルの高層階はオフィスになっているし、そもそも高輪ゲートウェイ一帯がオフィス街としても開発されている。都内、これまでいくつかのエリアで働いては来たけれど、文芸書の新刊なども幅広く仕入れてくれるような、満足いく大型の書店が帰りがけにスッと寄れる、ということが意外とできないこともあったし、浜松町の文教堂とか、八重洲ブックセンター本店とか、あったのに取り壊されてしまうケースも、昨今の再開発のなかでしばしばだった。仮に近くで働いていたら、magmabooksもBUNKITSUも通うだろうな、という気がした。
10選のなかで1個だけ異質なのが The Library Lounge で、ここは書店ではない。最近多いブックラウンジ、つまり借りてその場で本を読むための場所だ。

いや、いい場所なんだけど。
元がホテルのレストラン、ということでロケーションはとんでもなくいい。天井が2階まで吹き抜けになっていて、窓は一面ガラス張りで非常に開放感がある。元のレストランだった時代を偶然知っていただけに、こんなところを1時間1650円で漫画や本を読むための場所として使っていいのか、とオープン当初は勝手に動揺した。動揺したので先月初めて来店して、それからすでに計3回ほど訪れている。居心地はすごくいい。天王洲というほぼオフィス中心のエリアだからか、休日でも程よく空いているのがまたいい、のだが、それ故に先行きがちょっと心配にもなってはしまう。僕の場合は本を読むために訪れたことはなくて、もっぱらコワーキングスペースのような使い方をしている。この手のブックラウンジって、だいたいはコワーキングスペース的な使い方をする人が多い気がするのだけど、ここに限ってはカップルやファミリーで漫画を読みに来ている人が多い気がする。休日に、ちょっと贅沢な気分で過ごすのには確かに良さそうには思う。3回ほど訪れてからやや冷静になり、1時間1650円は確かに贅沢だなと思うに至ったので、僕も今後の来店頻度は減りそうには思っている。たぶん、この手の場所ってたまに、本当にたまにドロップインするか、月額会員になるのが主なんだろう。