Spotifyのトップ画面には常に楽曲が表示されるものとばかり思っていたが、最近Podcastをよく聴いていたらPodcastが表示されるようになった。なるほど、そういうものなのかと、Spotifyを数年使っていて初めて知るが、どちらかと言えば音楽を聴きたくて使うことが多いので、煩わしくもある。設定で固定できたらいいのだが。
今年は意識的にPodcastを聴いている。インプットの、というか、嗜めるメディアのチャネルを増やしたくなった。いろいろと忙しい日々だと、視覚を使うメディアは消費できる数が限られてくるし、他の家事やちょっとした事務をしながら「ながら」で楽しめるのは聴覚メディアだったりする。耳から、というのが僕はどうも苦手で避けてきたけれど、ちょっと試してみよう、という気分でやってみている。が、何を聴けばいいのか、いまいちバチッとハマるものに、まだあまり出会えていない。
最近聴いたところだと、有名どころである『ゆる言語学ラジオ』のサピア=ウォーフの仮説の回。みんな大好きサピア=ウォーフの仮説。言語が思考や認識を決定する、エスキモーには雪を表す言葉が20種類あるから、彼らは雪を20通り識別しているのだ、みたいなアレである。僕はもともと大学の専門が言語学なので知っている、というのもあるが、SFなどでもよく取り上げられる仮説だから言語学をかじっていなくとも、知っている人は多いように思う。映画『メッセージ』、『1984年』、『虐殺器官』……。そも言語学を扱う番組で、この仮説を今まで扱っていなかったのが意外だったが、YouTubeのほうに付いているコメントを見る感じ、この番組はどうも学術的な話をそんなにメインで扱っているわけでもないらしい? 語り口が軽くてわかりやすいとはいえ、学術方面の話ばかりだとなかなか聴かれないだろうし、まぁそれはそうか、とも思う。でも、初期のノリみたいで良い、こういうのが聴きたい、といったコメントも多くて、番組運営って大変なんだろうな、と、他人事のように考える。
学術的な内容とはいえ、軽いトークだからあまり勉強やインプットという感じはしなくて、とても聴きやすくてよかったのだが、裏を返すと真面目なインプットはやはり耳からだとしんどいだろうな、と今でも思っている。視覚のメディアは基本的にはそれに集中するものなわけで、おそらく「ながら」で読書できる器用な人はあまりいないと思うのだけど、聴覚メディアは「ながら」で聴いてしまうことが多く、油断すると聞き逃していることも少なくない。というか、少し聞き逃しても大丈夫なぐらいの「ゆる」さを聴覚メディアには求めている自分がいる。だから「聴覚メディアが苦手」というのは正確ではない。Audibleなどのように、集中して聴かねばならない聴覚メディアが合わない、というほうが正しい。実際、昔はよくラジオを聴いていた頃もあった。
「ながら」で聴くとなると、あまり脳や心を引っ張られたくないという気持ちもあり、例えば刺激的な内容やテンションの高い話し方がNot for meになったりもする。ラジオのパーソナリティがわりと抑制的な話し方をしていることが多いのは、そういった聴きやすさに配慮しているところもあるのだろうか。かつてラジオを聴いていた頃は、埼玉県民らしくNACK5を聴いていて、特に好きだったのは、玉川美沙のちょっとダウナーでのんびりした喋りや、坂本真綾の静かな声だった。まぁ、そういった好みはあれど、うるせえ黙れ取りあえず色々聴いてみろよ自分、と思ってはいるのだが、本当に番組数が今は多いし、どう探せばいいのやら。
今のところ継続的に聴いている、と言えるのは、職業つながりであるTech系のPodcastを除けば、『ぽこピーのゆめうつつ』ぐらいだ。狸とピーナッツのVTuberってどういうことなんだとずっと思っていたが、いつの間にか聴いていていつの間にかハマっていたし、狸とピーナッツであることはあまり気にしなくなった。2人が週に30分、言ってしまえば雑談しているだけ、という適度なゆるさがちょうどいい。ロイホでコース料理的なものを食べると、ちょっとした贅沢という感じでテンション上がるとか、自分らの世代で言えばリアルからネットに逃げていたけれど、最近の若い世代はネットでの繋がりがしんどくて「リアルに逃げる」と言うらしい、へー、とか、そういう半径5mぐらいの話を無限に聴いていたい。たまにぽんぽこさんが、京都の書店で買ったZINEを紹介するとか、ZINEフェスに行った、みたいな話をしてくれるのもいい。そして彼らが実の兄弟だと知って、仲良いなぁとほっこりしてもいる。

Podcastに限定する必要もたぶんなくて、YouTubeのトーク配信などでもいいのだと思う。その点で言えば 敷嶋てとら の声がたぶん、今の自分には一番聴きやすい。 先週末、大井町に行った 帰り、電車のなかでRSSリーダーを開くと、敷嶋が珍しく月曜の定期配信とは別の臨時配信をしていて、見るともうすぐ登録者10万人に行きそうだから見守り配信するということで、そのまま小さいウィンドウで開いて、web漫画などを読みながら眺めた。この手の「見守り配信」、そんなリアルタイムにぽこぽこ増えて到達するものなのかといつも不思議に思うのだが、開始当初99880人ぐらいだった登録者数は、あれよあれよと増えて、ものの20分で10万人に到達していた。急だし特に何も準備していないし、10万人到達したらサクッと終えるよ、みたいなことをカウントダウン中からしきりに言ってはいたが、それでも本人的にも「せっかくお声掛けして来てもらったのに、こんな早く終わるとは……」みたいにやや恐縮していて、少し感謝の言葉を述べたり、話をしたりしたのち、最後に乾杯をして、配信はものの30分ぐらいでするっと終わっていった。