
キングコーヒーに出逢うのは2年ぶりになる。馴染みのないメーカーのドリンクが入った自販機はたまにあるが、自販機の筐体自体が見たこともないベンダーの大きなロゴ、というかイラスト入り、という機会はなかなかなくてインパクトが大きすぎる。筐体には「JAPANESE KINGコーヒーNo.1」とも書かれていて、自販機に描かれているのと同じ、KINGらしき爺の顔が描かれた缶コーヒーがいくつか入っている。しかもやたらに安くて、ショート缶が80円、ロング缶のKINGミルクコーヒーが100円、ボトル缶のネボケKINGコーヒー(どういうことだ)が130円。前回は確か名古屋駅近くのどこかで、今回は伊勢ということを考えると、どうも東海地方のローカル飲料のように見受けられる。コーヒーというのは言ってはあれだが当たり外れが大きいし、まぁ、言ってはあれだが見た目が怪しいし、前回はどうにも勇気が出ずスルーしたが、2回目となると縁を感じる。が、次に目にしたら買うよ、と同行者に軽口を叩いて、今回も一旦見送る。
ということで先週末は伊勢だった。伊勢については2回目だった。伊勢神宮という場所は参拝がなかなかに時間がかかるところで、大きな社が外宮と内宮という2つに分かれており、それぞれの間は5kmぐらい距離がある。前回は1泊2日の2日目に参拝を詰め込み、さくさくと巡って15時ぐらいには帰路についたが、今回は余裕のある2泊で2日目に外宮、3日目に内宮と分ける。すると観光地以外のところにも目がいくようになるもので、内宮の参道から伸びる、如何にもな木造建築が並んだ門前町から、川を越えただけですぐ、近代的な建物が集まる、のどかでどこにでもありそうな住宅街に変わっていくことを知ったりする。

外宮を参拝したとき、大勢の白い装束をまとった方々がぞろぞろと並んでいるのに出くわした。上下の白い装束はみな揃っているが、靴やかばんはそれぞれで、スニーカーの人もいれば、ユニクロのラウンドバッグを提げている人もいるが、レギュレーションがあるのか、色はすべて白で統一されているという具合。ご祈祷、という感じでもなく、神職の方というわけでもなさそうに見え、なんだろうとしばし考え、宿で見かけた「御木曳」行事の案内を思い出す。式年遷宮に向けた、檜の木材を曳いていく行事がちょうど行われており、交通規制もあるのだとフロントで聞いていたが、この行事はどうも市民参加で成り立つものであり、参加者たちが揃って参拝をしているようだった。
式年遷宮、なんとなく神職や宮大工だけで秘された形で成されるようなイメージが勝手にあったが、考えてみればこれだけ大規模な行事、市民参加がなければ人手が足りなかろうし、なにより神社の行事に市民が参加するというのは当たり前というか、街や地域と神社のつながりを考えれば、そうあるべきとさえ思える。伊勢神宮、と言うと遠くのものからすればあまりにも大層で特別な神社だが、それでも神社は神社であり、土地に根ざしたものであることには変わりない。
しかし次の遷宮は2033年だが、もう始まっているのか、ということにも驚く。次の遷宮に向けた最初の行事は昨年の5月、ちょうど1年前に行われたそうで、遷宮の間隔は20年ある、と言っても準備や祭典には7〜8年かけるらしい。これを街ぐるみで、1000年以上に渡って続けてきた、というのは、思っていた以上に途方もない。市民参加の行事が、御木曳のほかにどれほどあるのかは知らないが、この街はこれから7年後まで、遷宮とともにあるということだ。なんだか、とても良い時期に参拝が出来たような気がした。

キングコーヒーにはその後2回ほど出逢い、有言実行ということで購入した。口に含んだ瞬間はややあっさりしているようにも感じたが、徐々にしっかりと苦味が感じられるようになり、当時の季節外れな暑さも相まって、美味い。香料が入っていないこともあってか、変な後味などもなく、すっきりしていて飲みやすかった。これならば、また東海に来たときには飲んでみたいものだと思い、設置場所などを調べてみたところ、どうも横浜に支社があるらしく、自宅からそう遠くないところで買えることを知った。