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そのねこがうたうとき

物語偏愛者の詭弁と戯言

『アフターアワーズ』静かな音楽漫画という魅力

サブカル

こんな大胆なダイレクトマーケティングは初めて見たのでびっくりしている。売上が足りなければ打ち切り、続刊は出なくなるなんてのはまぁ漫画ではよくあることだけど、具体的にどれくらい足りてないのか明かして、作者も編集部も自ら購買を呼び掛けに行くスタイル。編集部が出てきてる時点でこれ本当に足りてないのか?とか疑いたくはなるのだが、これで本気で2巻出なかったらファンとしては悔やんでも悔やめないので乗せられるしかねぇこのビッグウェーブ。というわけで宣伝も兼ねての感想エントリー。

そうです、好きだったのです『アフターアワーズ』。簡単に言うと、なんとなく日常生活うまくいかなくて、渋谷のクラブにやってきていた女の子が、バリバリクラブで遊びまくってる年上のお姉さんに連れられて、ちょっと今までと違うセカイへ踏み込んでいきますみたいな話。なんとも素敵漫画だったので、ブログに書こうかな?と思ったこともないではないが、なんか流れてしまってた。別に自分が書いたところで売上変わるとは思わないけど、好きなもののために何ができたのかって、やっぱこういうときに重くのしかかってくるのよね。

最近の自分の漫画趣味はわりと「雰囲気」に寄っているところがあって、例えば今アニメでやってる『あまんちゅ!』。アニメからも十分伝わってくる、あののんびりしていて、でもまっすぐ輝いていて眩しい空気感。てこがどう、ぴかりがどうという単体でももちろん魅力が大きいのだけど、あの物語全体がまるで祝福されているかのような、あの雰囲気を味わいたくて読んでいるというのが大きい。ただキャラクターを描いている、物語を描いているというだけにとどまらず、その世界の空気を眼で感じさせてくれる漫画はそれなりに貴重なのだと思う。

翻って『アフターアワーズ』も「そういう」漫画だ。ただし、こちらは明るく眩しいのではなく、夜闇の中で静かに時が流れ、そしてそっと、夜明けのうっすらとした光に目を細めるような感覚。クラブで遊ぶ女の子がやいのやいのする漫画なのだけど、ガッツリ踊るというよりはDJVJに勤しんで、バックステージでのトークがハイライトされたり、あるいは端っこでそっと飲んでいるような作品。だから音楽が題材のひとつなのに、不思議と音があまり聞こえてこない。なのに、その明るく照らされ、きっと大音量が響いているであろうフロアから切り離された、どこか薄暗くて静かだけれど楽しい、そういう世界が心地良くて、独特の読後感に包まれる。

そしてもう1つ秀逸なのが、主人公2人の関係性というか、人間の描き方といっていいのかもしれないが。あまりネタバレしたくないので踏み込みたくはないのだけど、まぁ百合描写?はある。あるのだが、それはとても淡々と、まるで日常の延長にあるかのようで、言うなれば「お、女の子同士なのにっ」っていう戸惑いがないのだ。女同士である、ということに特別感を持った描写はなく、むしろヘテロもOKであることが描かれてすらある。それって厳密な意味の百合が好きな人からは怒られそうなんだけど、でも自分にはそんな関係性がめちゃめちゃ愛おしく見えてたまんなかった。女だからとか男だからとか関係なく、好きなものは好きで、それ以上でも以下でもないというか、居心地のよさも、愛情も、友情も、そこにあまり大きな線を引きたがらない、静かな感じが良いのですよ。これは読まなきゃわからない気がするし、たぶん読んでもわからない人はいると思うのだけど(理解できない、ではなくて好みの問題というか)。

あーーーー、やっぱりこれだけ書けるではないか。なぜすぐに書かなんだ。まぁいまさら言っても仕方ない。読もう、とりあえず。そして買おう。買っちゃおう。なんかPixivで無料で4話まで読めるらしいので、とりあえずまずはここから是非。

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