半月ぶりぐらいの更新。一応就活はしてるけど、ブログを更新できないほど忙しいかと言えばそうでもない。更新頻度が減ったのは、やはりTwitterの影響でしょうかねぇ……。で、今日は就活の話。
最近いろんな話をセミナーなどで聞くなかで、印象的だったものに次のようなものがある。「セミナーの予約は1時間ぐらいで満席になってしまうこともあるので、メールを携帯に転送して、お知らせがきたら携帯から予約しちゃいましょう」。これはちょっと意表を突かれた。そうかそこまでするのか、いや言われてみればそうだよな……なんで自分はそこに思い至らなかったのだろうと。思うに、僕があまり携帯を使わないからだろうけど。
商用インターネットが始まったのが87年。今就活している学部3年生が88年度生まれ*1だから、まさにデジタルネイティブが就活を始めたのだと考えていい。高卒就活なんてもはや平成生まれだ。自分で就活をしていても、ある意味で「情報戦」の臭いを感じている。
セミナーはあっと言う間に満席
そもそもウェブを使った就活自体は、今に始まった話じゃない。いわゆるリクナビ、マイナビなどのウェブサイトを使った就職活動は、数年前から一般的になっている。簡単に言ってしまえば、これらのサイトで興味のある企業をブクマしておくと、その企業から様々なお知らせが自動的に届くという仕組みだ。一部企業に限られるが、サイト上からエントリーやセミナーの予約もできる。もうこれらのサイトを使うことなく、就活をすることはほぼあり得ないと考えていい。
ネットでワンクリックで様々な情報が手に入り、エントリーまでできるとなると、当然ながら「いかに情報を多く、早く手に入れるか」が重要になってくる。先の「携帯からセミナー予約」の話だが、決して大げさな表現ではなく、人気のセミナーなら本当に1日も経たず満席になってしまう。予約するかはちょっと保留しとこうなんて考える暇はまったくない。セミナーのお知らせが来たら、瞬時にそれが必要なものかどうか判断し、予約を済ませる必要がある。
まさに情報戦。僕が入手した某社の就活パンフにも、「就活に使えるデジモノ特集」なんてのが載っていたほどだ*2。パソコンを使えないものは、それだけで周りから置いていかれる。
就活の情報戦化は人のつながりを喪失させたか
よくこのようなウェブ就活への批判として、「ネットに頼った独りよがりの就活ばかりで、実際に足を動かす学生が少ない」というものがある。確かにそういう学生も少なくはないだろうが、彼らはおそらく内定から遠ざかると思う。
ウェブを活用するとはいえ、オフラインでの人との交流が重視されていることは変わりない。セミナー、OB訪問、企業人事担当者との懇親会、模擬面接などなど、誰かと触れ合う機会は数多く用意されていて、多くの就活生がそれを上手く活用しているように思う。むしろウェブを活用して、いかに人脈をたぐり寄せて来ることができるかが鍵になっているようにも思える。ウェブで多くの情報に触れられるということは、それだけ多くの人に触れられる可能性もあるということだ。ウェブはあくまで手段でしかないし、その領域に留めておかなくてはならない。
過度の情報氾濫で失われたもの
ただ、ウェブで簡単に情報が手に入るようになったからと言って、就活が楽なものになったわけではない。いや、昔の就活を知らないから比較はできないが、主観的に考えて今の就活が楽だとは思えない。
とかく情報が多すぎるのだ。日々数十通ものメールが押し寄せてくるし、就活サイト主催の合同説明会には何万人もの人が来る。そもそも就活サイト自体いくつも立ち上がっており、複数登録する人も少なくない。RSSのように一カ所にまとめられるならまだしも、こうも細分化してしまってはどうしようもない。毎日のメールチェックはストレスになるし、そこで瞬時に必要な情報を見分けるスキルも要求されてくる。
過度の情報氾濫は、就活がマニュアル化した要因の一つにもなっているだろう。情報の増加に伴う選択肢の多様化、そして自己の客観化は、最終的に「どう動けばいいのかわからない」という結論をもたらす。また先回りして面接内容の情報を得ることができれば、それに合わせた戦略を立てようと試みる。故にマニュアル化が進む。
求められるものは変わらない
デジタルネイティブだからといって、みながみなITリテラシーが高いわけでもない。PCや携帯をどう使いこなしているかは人それぞれだし、デジタルツールを使うことに疑問があるなら、いっそのこと使わない手だってある。でもウェブを何とか活用して就活を進めようと思うなら、ある程度のリテラシーを身に付けなくてはならない。恐ろしい量の情報フローを日々いかにさばくか。その中から自分が本当に必要とする情報を、どれだけ見つけることができるか。メールをすべてGmailに転送してフィルタをかけるとか、iPhoneを持って出先でもフルブラウザが使えるようにするとか、やり方はいくらでもある。
ただこんなのは詰まるところ「情報の収集」と「的確な判断力」という、就職すれば誰しもが身に付けなくてはならない力を発揮する機会に他ならない。人脈を作る力もそう、コミュニケーションを取る力もそう。インターネットやらデジタルネイティブやらの言葉に惑わされがちだけど、それでもやることは昔と大して変わっていないはずだ。
結局ウェブは手段*3であり道具だ。それに振り回されることなく、どう主体的に振り回していくか。デジタルネイティブがウェブで有意義な就職活動をしようと模索する過程は、そのまま社会で生きるための力をつける過程になりうるのだと僕は思う。