最近nanacoを使い始めました。というのも、セブンイレブンで100円ぐらいのヨーグルトに「nanacoで50ポイントサービス!」の文字が踊っていたからです。nanacoポイントは1ポイント=1円換算なので、実質半額なわけですよ。これなら作った方がお得じゃないかと。で、偶然にも近所に新しくセブンがオープンし、開店記念でnanacoを無料で配ってましたので、これを機に使い始めることとしました。
でも、実際使ってみると非常に面倒くさくって、使用開始一週間で嫌になってます。面倒というか、利便性があまり感じられない。nanacoを持ってみて実感しましたけど、僕ってそれほどコンビニを使う生活をしてなかったんですよね。せいぜい週に3〜4度。nanacoの利点は、コンビニの買物で面倒な「小銭を取り出す」という行為が簡略化されることにあると思うんですけど、週にたった3〜4度の「小銭を取り出す」動作がなくなったところで大した感慨もない。あまり行かないからチャージも1000円単位なので、すぐにチャージが必要になってめんどい。これはもう、セブンのヘビーユーザーが持つべきものなんだと思いました。一応nanacoが使えるお店ってセブン以外にもあるんですが、うちの近所にはヨーカドーすらないので……。
理想的な電子マネーとしてのSuica
一方で僕はSuicaが大好きです。もう手放せないような勢いで使いまくってます。大学までは自転車通学ですが、週2度バイトに行くときはJR。遊びに行くときもJRやバス。就活ではJRに私鉄にメトロにと大活躍。おまけにミニストップやam/pmなどのコンビニでも使えますし、最近ではSuica対応の自販機も増えてきました。場所によっては松屋やドトールなんかでも使えたりします。そしてチャージが楽。すごく楽。僕はモバイルスイカを使ってますので、アプリ起動していつでもどこでも1分でチャージが終わります*1。
僕にとってSuicaは理想型の電子マネーです。使用範囲の広さと、本当にお財布がなくてもこれだけで買物可能という手軽さ。丸一日携帯電話オンリーで過ごすことだってできそうな勢いです。「お財布に置き換わる」という意味において、今究極の電子マネーに近いのはSuicaではないかと。
電子マネーが生活シーンを支配する
ただ、そのSuicaにせよ、恩恵を受けられるのは首都圏の人のみです。主に首都圏のビジネスパーソンでしょうか。例えば僕の母も物珍しさからモバイルスイカを使っていましたが、結局あまり使う機会がないということで、1年で解約してしまいました。彼女は専業主婦なので、電車に乗ることが僕なんかより遥かに少なかったからです。外でふらっとご飯を食べることもないでしょうし、自販機で飲み物を買うこともないでしょう。つまり、彼女の生活シーンにはSuicaの入る隙がなかった。
現在日本で流通する電子マネーは、どれも民間の会社が発行するものなので、当然ながら使える範囲に制限があります。だからどの電子マネーが「便利」と言えるかは、個々人の生活シーンによって異なってくる。電車とコンビニを多用するビジネスパーソンはSuicaがいいだろうし、イオン大好きな主婦はWAONがいいでしょう。
nanacoの場合はこれを逆手にとって、電子マネーが生活シーンを縛っているような気がします。ファミマとセブンが並んでいたとして、nanacoを持っていればそれがセブンに行くインセンティブになる。良くも悪くも電子マネーは生活シーンと結びつきすぎていて、汎用的に交換可能だったはずの「貨幣」の価値を変化させているように思います。
コレジャナイ電子マネー
電子マネーってのは「財布持ち歩かなくても済むよ!」が最終目標だと思うんですけど、各社が競うかのように電子マネーを乱立させてる今の状況では、土台それを達成することは無理です。てかそのためには官営にしなきゃです。財布がなくてもどこでも買物できる!って状況が欲しくて電子マネーという概念は生まれたはずなのに、今の電子マネーはどこかでしか買物できない。財布は薄くなるどころか、複数枚の電子マネーを入れて分厚くなってます。コレジャナイ感がすごく強い。
テレビ電話も昔はすごく憧れを持って語られた感が強かった気がしますが、実際にできてみると大して持ち上げられることもなく、むしろ「これいらなくね?」ってことになった。電子マネーもそうなるんでしょうか。技術の理想と、その現実の「コレジャナイ感」のギャップってすさまじいですね。