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そのねこがうたうとき

物語偏愛者の詭弁と戯言

ブクマからOneへの変化と匿名性の瓦解

インターネット

はてなは「エントリー」を基本単位とするサービスだと思っていた。はてなというか、はてブがまさにそれであって、あのサービスはユーザーではなくエントリーがサービスの中心になっている。個々のユーザーのブクマをつらつら見るような機会はほとんどなくて、だいたいはホッテントリやタグからエントリーを辿る見方をする。ホッテントリにとってのユーザーは、赤い文字で示された数字でしかなくて、そこではユーザーがエントリーに従属する。エントリーがあって、初めてユーザーは存在する場所を得られて、人気のあるエントリーにはどんどん多くのユーザーが集まっていく。ユーザーが数としてしか見られない空間では、一人一人は没個性的で、匿名的な存在に見えてくる。

今回クローズドでリリースされたはてなOneは、はてブの思想からは対極にあるサービスなんじゃないかと思う。あそこでは人気のあるエントリーではなく、自分が選んだユーザーだけが可視化される。どれだけブクマを集めたエントリーでも、はてなOneでは存在価値を失うかもしれない。ここではエントリーがユーザーに従属する。

もちろん、はてなOneが唐突にユーザーを主役に置いたのではない。はてなブックマーク2のリリース当初にも、お気に入り機能がとにかくプッシュされていたのを思い出す。あの頃からすでに、はてなはユーザーを基本単位としたサービスに舵を切っていた。違う言い方をすれば、Twitter的なソーシャルサービスへ変化しつつあったのだと思う。

個人的には、ユーザー中心のサービスにはなんとなく居心地の悪さを感じてしまう。あくまでコンテンツが主役であり、それに対してユーザーがフラットに好き勝手なことを言い合うサービスでは、僕もあなたも対等な「無名の誰か」でしかなかった。これがユーザー主体となると、そうはいかなくなる。個々人が誰と関係があるのか、どんな影響力があるのかなんていう、リアルな世界にも似た指標が持ち込まれることになる。リアルで名を売れなかった僕たちが、ネットでもまた、その名を売ることを求められる。

「名を売れぬ」人々にとって、ネットの匿名性とは、すべてをリセットする最後の手段だったんじゃないかと、そんなことを思う。ユーザー名とアイコンがあったと言えど、はてなもまた、そんな「フラットな匿名性」の一端を担うサービスだったのではないかと。だから僕には、Oneへの変化というのはなかなか受け入れづらいものがある。

……まぁそうは言っても、従来からすでにアンテナとか似たようなサービスはあったんだけどね。