自炊系マンガ。自炊するマンガです。マンガの自炊じゃなくて。ScanSnapじゃなくて。
『甘々と稲妻』読みました。これはもう読んだらハマっちまうだろうなという予感のある設定(料理×女子高生×子ども)と絵柄だったんで、逆に遠ざけて読まないようにしてたんだけど、ついに誘惑に抗いきれなかった。そしてまぁ、見事にハマったというか、あーいいなこれはという感じになってしまって。最近どうもこう、素朴に日常を生きるようなマンガに弱いッス。働き始めたからなのかなぁ、なんかそういうのがすごい尊く思えるようになってしまった。
グルメマンガは世の中に数あれど、特に好きなのは「自炊」系だったりする。料理人が奇想天外なレシピであっと驚く料理を作ったり、いろんなお店を食べ歩いたりするマンガも好きなんだけど、今日この日を生きるために、あるいは誰かと生活を楽しみ分かち合うために、自分の手で料理を作り、食べるというのがいい。みなさんジブリに出てくるラピュタパンとかマルクルのベーコンエッグとか好きだと思うんだけど、あの感じに近いと思う。
『甘々と稻妻』に関して言えば、ほとんど料理経験のない「おとさん」と、トラウマから包丁を握れない小鳥が力を合わせることで、ホント何気ない料理(初回に至っては土鍋で炊いた白米である)を作って食べるってそれだけなんだけど、料理が出来た瞬間や、一口食べたときの彼らが感動する様がなんともたまらん。特に煮込みハンバーグ回のつむぎの反応は至高だと思います。あの、ね。自分のために作ってもらったおいしいものを食べて、安心してしまう感じ。
シングルファーザー設定なので、ともすれば少し重たい作品にも出来るところなんだけど、母親の喪失に関しては深堀りしすぎず、ただ料理を作り食すこと=生きることにフォーカスを当てている点がこのマンガのポイントだと思う。あと、なんだかんだ言って小鳥かわいいです。自炊大事だけど、かわいい女子高生も大事です。
最近の自炊系マンガだと、『ホクサイと飯』も異色の面白さだった。こちらは『甘々』のように「誰かのために」という料理ではなくて、ひたすら自分が喰らいたいものを独特のこだわりを込めて作る!そして食べない!(ぇ うん、食べるシーンがほとんど出てこないのよね。作るシーンにひたすらフォーカスを当てる。漫画家の主人公が料理を作るシチュエーションは、〆切間際のギリギリの朝だったり、自転車を撤去されたストレスにまみれたときだったり。そんなときにほんの数十分だけ集中して料理を作ることで、至福の時間が訪れる。作る料理も懲りすぎたものではなく、家庭でできるものに少しこだわりを加えた程度で親しみやすい。ここでもやっぱり、食べることで生きていけるって感じがして良いのだよな。
てな感じで、自炊系マンガが好きなこの頃。少し前だと『高杉さんちのお弁当』とか、『花のズボラ飯』などもこのジャンルですかね。