小説・エッセイ

『ニンジャ・バットマン』と『天の光はすべて星』から見る中島かずき

『ニンジャバットマン』本編冒頭映像 特に意識していなかったのだけど、中島かずきフィーバーがなんとなく自分の中で起きている。日曜に中島が脚本を書いている映画『ニンジャ・バットマン』を見て、月曜には中島が解説を寄せているフレデリック・ブラウン『…

2018年6月 - 四月の永い夢 / 堀江敏幸 / fhána Tour 2018 他

四月の永い夢 「四月の永い夢」冒頭映像 各国の映画は、その国独特の色を帯びることがあって、邦画にもまた日本独自の色というのが出ていることがある。うまく表現できないけど、まぁこの国の四季にフォーカスした、例えば夏の喧騒や日光の強さを表現すると…

阿久津隆『読書の日記』と、fuzkueというカフェについて

読書の日記作者:阿久津隆NUMABOOKSAmazon お気に入りのカフェの店主が商業出版で本を出す、という、おそらく今後生きていても二度とはないかもしれない経験をした。 新宿と渋谷の狭間ぐらいに初台というとても良い土地があるのだけど、そこにあるfuzkueとい…

2018年5月 - 舞台『1984』 / ゼロの執行人 / ソラリス / 恋は光

舞台『1984』 言わずとしれたジョージ・オーウェルのディストピアSF。トランプ政権誕生後によく名前を聴くようになったし、シンプルにあの世界観を演じるというのは面白そうだと思い見に行った。ちなみに海外ではなんかすごいことになってるとか。日本版は演…

2018年3月 - キングスマン / 未必のマクベス / 恋は光 / ガルパンVariante 他

キングスマン : ゴールデン・サークル 映画「キングスマン ゴールデン・サークル」日本版予告 第2弾 Red Band Ver. 年明けすぐにでも見ようと思っていたはずなのに、機を逸して終映ギリギリに見る形になってしまった。滑り込みセーフ。 よく「2作目は駄作」…

伊藤計劃『From the Nothing, With Love.』ならびに10年目を迎えてのブログ名変更

細々とやってきたこのブログも10年目を迎えてしまった。そんなに経ったのか、という驚きはあるけれど、よく続けてこれたな、という気持ちはあまりない。というのも、自分は語りたがりの質ではあるので、どこかにアウトプットの場は常に持っておかないと、溢…

『あなたの人生の物語』

テッド・チャンという作家について、新しい情報が入ることはほとんどないんですよ。何分寡作なもので、自分の認識が間違ってなければ邦訳で出ているのは『あなたの人生の物語』と、大森望編集の傑作選『ここがウィネトカなら、きみはジュディ』に収録された…

森見登美彦作品と夜を行き、迎える朝

作家生活10周年の節目を迎えたこともあってか、昨年末ぐらいから森見登美彦氏の界隈が少し騒がしいように思う。自分自身、先のクールでは『四畳半神話大系』の再放送を見て、本屋大賞と直木賞にノミネートされた『夜行』を先月読破し、先週『夜は短し歩けよ…

映画『虐殺器官』におけるゼロ年代の呪縛

「虐殺器官」新PV 伊藤計劃処女作がProject Itoh最後の公開となったのはなんともはやというところだが、無事に公開されただけでも良かったとは思う。もちろん、欲を言えば『ハーモニー』の前に公開してほしかった。 『屍者の帝国』を公開初日に見たものの、…

『マルドゥック・アノニマス』――加速した物語の行き着く先

マルドゥック・アノニマス 1 (ハヤカワ文庫JA)posted with amazlet at 16.05.07冲方丁 早川書房 売り上げランキング: 6,494Amazon.co.jpで詳細を見る 『マルドゥック・アノニマス』の発売が告知されたのは、偶然にも自分が『ヴェロシティ』1巻を読んでいると…

映画『屍者の帝国』に原作既読者が感じた違和と、その氷解について

屍者の帝国、TOHOシネマズ川崎の舞台挨拶回で見てきました。原作既読なので当然のごとくネタバレ満載で書く。原作も映画版もネタバレする。ネタバレなしで言うと、 原作既読者 => 一度見といて損はないと思う 原作未読者 => 一度見といて損はないと思う とい…

今更、本棚の10冊で自分を表現する

何番煎じだという感じだけど自分の現在位置確認にもなりそうなので。零細ブログなので流行りのネタに乗ってアクセス増えるとか思ってないです。 あなたの人生の物語 / テッド・チャン The Indifference Engine / 伊藤計劃 利己的な遺伝子 / リチャード・ドー…

野崎まど『know』――情報のオープン化と知の欲求

know (ハヤカワ文庫JA)posted with amazlet at 15.08.09野崎 まど 早川書房 売り上げランキング: 47,703Amazon.co.jpで詳細を見る 話題になってるから読もうと思っているうちに気付けば2年経ってた。実際読書期間は1週間もなかったので、はよ読めやという話…

『虐殺器官』再読〜地獄はここにある

虐殺器官〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)posted with amazlet at 15.04.10伊藤計劃 早川書房 売り上げランキング: 123,863Amazon.co.jpで詳細を見る 今年映画公開ということと、自分の中でもう一度ちゃんと咀嚼しておきたいなという思いとで、再読した。ブクログ…

『ニルヤの島』へと流れ着く物語

ニルヤの島 (ハヤカワSFシリーズJコレクション)posted with amazlet at 15.01.04柴田 勝家 早川書房 売り上げランキング: 29,738Amazon.co.jpで詳細を見る 今年の初読了は、2014年ハヤカワSFコンテストで大賞を受賞した、柴田勝家氏の『ニルヤの島』でした。…

世界のほんの片隅で、メガネとお金とミームが交錯する

年末の冬コミ、3年ぶりに参加して18冊ほど買いました。一番のお目当てはラブライブ!とアイマスのメガネ合同誌だったんですけど、いずれも無事購入できてなにより。この人気2作品が同時にメガネ合同誌出すとか、ちょっとこれ来てるんじゃないですかね。メガ…

終わりなき戯言

零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係 (講談社文庫)posted with amazlet at 14.12.21西尾 維新 講談社 (2014-10-15)売り上げランキング: 11,810Amazon.co.jpで詳細を見る 戯言&人間シリーズが(俺の中で)完結した。自分はラノベ読みではないので、この作品…

『屍者の帝国』がもたらすもの

屍者の帝国やっと読んだ。気付いたらもう2年前なのねこれ。読みたいけどおいしいものは取っておきたいという思考が働いてなんとなく読まずにいたけど、結論としては読んでよかったなと。ああ、楽しいなという感じだった。 まぁ刊行当初の熱気は当然ながらす…

伊藤計劃を避けられない

伊藤計劃の劇場アニメ化がだいぶ話題になっていたが、これを全く予想しなかったファンがいたかと言えば、そうではないだろうと思う。同じくゼロ年代のSFである『マルドゥック・スクランブル』もまた数年前に劇場アニメ化されているし、今年の夏には『All you…

「ほんのまくら」フェアで、小学生の頃がフラッシュバックした

昨年大好評だった、あの「ほんのまくら」フェアが帰ってきます! | 本の「今」がわかる 紀伊國屋書店 小学生の頃の読書感想文が苦痛じゃなかった子供なんていないだろうと思うんだけど、俺なんておそらく一度もまともに書いたことがないんじゃないかと思う。…

矮小な集団の中での才を描くということ(『氷菓』について)

ラノベは普段あまり読まないのだけど、ちょっと前にとある本を衝動買いというか、ジャケ買いしたのだが。還りの会で言ってやる (メディアワークス文庫)posted with amazlet at 12.09.22八重野 統摩 アスキーメディアワークス (2012-06-23)売り上げランキング…

角川の掌の上で『消失』を読む

今何かと話題のハルヒシリーズ、その4巻にあたる『消失』までを読んだ。実際読んでみると、『消失』が最高傑作と呼ばれていて、アニメ第2期が待ち望まれている理由がよくわかった。うん、確かに『消失』のインパクトはすごかった。それまでの3冊はこのために…