忘れられるはずもないけど

HITORI-ESCAPE TOUR 2024 10-NEN-SAI
HITORI-ESCAPE TOUR 2024 10-NEN-SAI

休日に朝から準備して満を持して行くライブもいいけど、仕事の後に都心のライブハウスへダッシュで駆け込んで、2時間過ごしてラーメンすすって帰る、っていうのがやっぱいいよなぁ、と思う。LIQUIDROOMに来たのはコロナ禍前、以来、らしい、とfoursquareないし Swarm に教えてもらってちょっと驚いたHITORI-ESCAPE TOUR 2024 10-NEN-SAI。相変わらずひたすらによかった。開幕から『ジャガーノート』『3分29秒』でもっていかれて、気付けばあっという間に21時。

ヒトリエは3人でも一線でガンガンに活動しているし、それでもう5年もやってきたわけで、結局は今のヒトリエがすべてなのだから、wowakaのことはもちろん心に留めつつも、wowakaが亡くなってどう、みたいな話を毎度する必要もないと思ってはいるものの、あれから5年となると思うことはまたいろいろある。それはメンバーとしてもそうなのか、明確にwowakaのことを唄った『さくらのいつか』という曲がリリースされた。シノダ、そう考えていたのか、ということを突きつけられる曲。メジャーデビューからwowakaの逝去まで5年、それから今年まででまた5年。

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楽曲制作とボーカルでメインを張っていたメンバーを失ったバンドが、その後も活動を続ける、というのはやっぱり簡単じゃないのだろうと思うし、それを5年も楽しめて、これからもまだ楽しめそうなことは本当に嬉しいし、行ける限りライブハウスに行こう、という思いにいつもなる。

ヒトリエはこの10年で今が一番面白いと思っている。wowaka亡き後、メインで曲を書いているのはボーカルを引き継いだシノダで、wowakaはもういないのに、どこかwowaka時代を思わせる、それでもなお「ヒトリエらしい」と思わせる曲をたびたび書いてくれている。だが昨年リリースされた『ジャガーノート』はヒトリエの曲というよりは「シノダの曲だ!」という感じが強かった。彼の荒々しさ、武骨さみたいなものが全快で、詞にも曲にもここまで溢れ出している曲は初めて聴いた。どこか繊細さのあった、wowakaがこの曲を唄うところは想像がしづらいような。振れ幅。wowakaがいた頃のヒトリエのイメージを引き継ぎつつも、そこから豪快にはみ出し始めている振れ幅。自分が書いた曲のほうがそりゃあ唄いやすいんだろうと思うが、wowakaの曲も減らしたりはせずにバンバン披露してくれるわけで、今、このバンドの来歴と幅の広さを存分に楽しめるライブになっている。聴きたい曲が多すぎるから、どの曲が来ても楽しい。

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アンコール最後は『ポラリス』。wowakaの生前最後にリリースされたシングルということと、「忘れられるはずもないけど君の声を聞かせてほしくて」といった歌詞が相まって、どうもこの曲は彼の遺言に聴こえてしまう。そんなつもりで書いたわけじゃないだろうに、そういう聴き方をするのはどうなんだろうと思いつつ、好きなのだが、油断すると泣きたくなる。

10周年なので自分もはしゃいでいるのか、普段ならあまり買わない物販でグッズを買ったりもした。ジャケ写アクリルキーホルダー。

『アンノウン・マザーグース』と『PHARMACY』が当たりました
『アンノウン・マザーグース』と『PHARMACY』が当たりました