the world was not enough

物語偏愛者の詭弁と戯言

2018年8月 - C94 / カメラを止めるな! / 天国大魔境 / jizue

※本エントリーには映画『カメラを止めるな!』のネタバレが含まれています。

コミックマーケット94

「平成最後の夏コミ」という響きがエモかったので、急に思い立ってカタログもほとんど見ずに2日目だけ立ち寄った。台風が過ぎ去って幾日、最高潮の湿度と温度で、人間がおよそ立ち入るべき場所ではなかった。東ホールに入った当初は日陰を喜んだものの、回っているうちに酸素の薄さと湿度の高さに耐え切れなくなり、むしろ「早く外に出たい……」と願うというような、そういう地獄。

買ったのは相変わらずガルパンが主だったのだが、隣が今回「ポケモン」だったのがなかなか憎くて、ポケスペの同人誌など懐かしくて危うくそちらも買いそうになったが買っていない。まぁいろいろちょっと入り用だったので、今回は控えめ。


劇場版秘封倶楽部「星降る夜のユートピア」

1つ、どうしても欲しくてガルパン以外で買ったのが、劇場版秘封倶楽部『星降る夜のユートピア』。架空の劇場版をコンセプトに、その脚本やパンフレットやイメージアルバムをセットにした作品集なのだけど、事前に公開されていた架空の予告編映像のクオリティが高くて驚き。コンセプト自体もとても面白いと思ったので、東方は「ミリしら」に近いのだが買ってしまった。こういうのに思いがけず出会えることがあるから、コミケというのはやめられない。

カメラを止めるな!

冒頭にも記したけど、さすがにそろそろいいかなというのもあるのでネタバレ有りで書く。

そもそも「ネタバレNGです!」っていう触れ込み自体が一種のネタバレになっているというか、つまりは種明かしされると面白さが半減されるということで、そういうのは叙述トリックとか信頼できない語り手とか、パターンがだいたいは決まっているので予想はしていた。予想していないとしても、最初に流れるゾンビ映画は随所に違和感を覚えさせるようなつくりになっているので、これ自体が劇中劇みたいなやつなんだろうなというのは、見ていればわかる。

でもこの映画は、それがわかったところで別に面白さが減らない点が本質じゃないかと思った。もちろんネタバレはない方がいいが、仮にネタバレされてても後半は楽しめるんじゃないだろうか。「種」がわかった状態で見ても、生放送の裏側がリアルタイムで流れていく後半はハラハラしながら笑いながら見られたし、このあとってあのシーンか。あぁ、あのシーンってそういえば違和感あったけど、もしかしてこういうことか? あ、やっぱり。あ、予想よりひどい。ああ、ああーーーーー!!!みたいな感じで、こう、答え合わせしながら見るんだけど、その答えが予想のさらに上をいくインパクトを持っている。いや、だいぶ笑わせてもらった。純粋に楽しい。あーーおもしろかった!って言えばそれでいい、そういう映画。

この映画は、映画を作るのって大変なんだよってのがわかるし、映画ってこういうメタ構造を持った面白い作品もあるんだよ、っていう、普段あんまり映画を見ない層へのエントリーにもなっているように思うし、何重にも良い映画だなと思う。この作品が老若男女にヒットしている現状というのは、すごく喜ばしい。

天国大魔境

それでも町は廻っている』の終了後、初めてとなる石黒正数の連載作。『それ町』の印象を引きずったまま読むとえらいことになる、作風がぐるりと半回転したかのような作品。既作で言えば『外天楼』のような薄気味悪さと容赦の無さを持っているが、本作のハードっぷりはその上をいく。石黒正数がダークな方面に本気を出すとこうなるのか、という感じ。その昔、石黒は「僕のマンガは藤子・F・不二雄がお父さんで、大友克洋がお母さん」*1と語ったことがあるが、大友成分がとても強く、絵柄にもそれが現れている。

正直まだ評価する段階にはない。今のところ「ダーク石黒」のインパクトで読み進められているが、これが面白くなるのかどうかは、話の転がり方次第という感じがしている。

jizue New Album『ROOM』Release Live「jizue×toe


jizue - 「ROOM」 teaser trailer

渋谷 CLUB QUATTROjizue のリリースライブ、ゲストに toe を迎えて、というなんとも豪華な夜に遊びに行った。

特に jizue のライブは初めてで、 7月のエントリー で書いた通り、事前に映像でライブパフォーマンスを鑑賞して、こういう感じなのだなと頭では理解していたものの、実際に生で目の当たりにすると映像の100倍カッコよかった。もう何年も CD や Spotify で聴いてきて、今更知ったのがなんでなんだという感じだが、 jizue はライブで化けるバンドである。言葉が悪いかもしれないが、高いスキルを持ったパフォーマーたちが一緒に奏でるというよりは、交互に全力で殴り合うような演奏というのが自分は大好物だ。 jizue のライブはまさにそんな感じ。個々のメンバーがソロパートで最高の演奏を交互に交互に繰り返して、そして一緒に奏でてというのをサイクルして高めあって熱を帯びていくような、とにかく熱いパフォーマンス。

一方の toe は極めて完成度が高く、とても荒々しい演奏にも見えるのに、一音一音がなんでこれほどの精密さで奏でられるんだろうというのが不思議で涙が出そうになる。 jizue が「みんなもそうだと思うけど、俺たちも toe めっちゃ好きで」的なことを言っていたが、この国のインストロックファンで toe を好きじゃない人は果たしているんだろうかと。この2組の対バンが見られるなんて贅沢過ぎるだろうと思っていたが、期待通りの濃密な演奏を聴けて最高の夜だった。

ちなみに jizue は12月にも LIQUIDROOM でワンマンがあるので是非。