劉慈欣『三体』
- 作者: 劉慈欣,立原透耶,大森望,光吉さくら,ワンチャイ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2019/07/04
- メディア: 単行本
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中国で三部作合計2100万部を売ったモンスターSFとして発売前から話題で、とりあえず買っとけ買っとけという勢いで購入。中国と言うと人口ボーナスがあるので、購買者の比率で考えると日本で言えばだいたい170万部売れたとかそれぐらいの換算にはなってしまうのだけど、それでも2100万という数字のインパクトはやっぱりでかい。全世界累計売上がどんなもんかは知らないけれど、世界的に売れているというのも確かなようです。
で、確かに面白い。何がってスケールがでかくて。恐ろしく巨大な風呂敷をどっかんと投げて、いやこれさすがに少し畳むとか実は作中の技術進歩によってもうちょい風呂敷縮んじゃうんですとか、そういうんでしょきっと、じゃないと登場人物たち xx なことになるじゃん???とか思って読み進めた終盤だったけれども、風呂敷が特に畳まれる気配はなく、広げっぱなしのまま「第1部完!!!」と相成り、「えっ、ええええ〜〜〜〜〜?????」という感じの読後感を味わいました。第1部はこの「三体」シリーズがどれほどのスケールの話を描こうとしているのか、その紹介であり、地固めのようなお話だったんだろうなと思う。これを踏まえて第2部、第3部と続くということは、当然あれがああなって、ああいう話になるのか、いやとんでもない話を書こうとしているんだな〜〜〜〜〜という期待感をひたすら煽るのがこの『三体』です。すでに完結済みであることが救いというべきか、来年まで次作の翻訳を待たなくてはならないのが拷問のよう、なのか。
中国の小説だからと特別なところはほとんどなくて、文化大革命や共産党政権の動きなど、お国柄な事情も出てはきますが、そんなのどうでもいいという気分になれるので心配は無用という感じ。バラク・オバマがこれを読むことで、大統領としての仕事が些細なことに思えた、と言うだけはある。とても爽快感のある読書体験をもたらしてくれました。
シン・エヴァンゲリオン劇場版 0706作戦
思い出すのは EVA-EXTRA 08 。新宿バルト9の壁面で『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の情報を上映したイベントでした。
当時の告知がこれですね。映像の具体的な内容に関する言及はないままに、上映の告知だけがあり、当日蓋を開けてみれば、当時初となる『Q』本編映像(しかも『破』で生死不明状態になっていたアスカ……を連想させる2号機の戦闘シーン)を使った予告編の上映と、公開日が発表された、という具合で、相当な盛り上がりがありました。 自分も現地に行ってた のですが、場所が路上であるという都合上、道路に屯して待機しているわけにもいかなくて、斜向かいの雑居ビルにあるラ・パウザで時間を潰し、あわよくば窓から見えないものかと試行錯誤していたのを覚えています。今回きちんとあらかじめ期日を発表した上で、路上ではなくて場所を準備したのはこのときの反省なんでしょうね。一方で東京の2箇所に関しては当日に場所を発表、発表の2時間後から整理券配布開始という形をとり、かなりシビアに来訪者の数を絞ろうとしていたように見えて、ゲリラ的にイベントを行いたいが、無用の混乱は避けたいというスタジオカラー側の葛藤が透けて見えた気がしました。整理券配布開始が14時に日比谷と新宿で、自分はこの日14時半から15時半まで板橋に拘束されていたのでほぼ諦めてたんですが、なんとか日比谷のラスト10人に滑り込んで見てこられました。
ただ『EVA-EXTRA 08』の再来を期待しすぎて、なにかサプライズがあるんじゃないかと勝手に思っていたら特にそんなことはなく、粛々とアバンの公開だけで終わったのは意外というかなんというか。庵野監督が直々にビデオメッセージを寄せるという珍しい試みにちょっと驚きはしましたが、緒方恵美さんの口からも「本当に終わるようです」という言葉を語らせていたことも含め、「あのエヴァが本当に終わるのか」という誰しもがある程度は抱えているだろう不安に対し、現時点で使えるだけの手を尽くして応えようとした、そんなイベントだったように思えます。一方でファンは「終わらない世界」を望んでいるのも事実、という気はしますけどね。こういう小出しにされる情報に翻弄されること自体を楽しんでいた、というのは否めない。
本当に終わるのか、とか、公開が延期されるのでは、という不安はあんまり自分にはなくて、というのも『シン・ゴジラ』を観て以降、穏やかに庵野監督を信じるようになったというか、そもそも新劇場版以降、「待たせる」ことはあっても、新世紀TV版のように「出来上がらない」とか、旧劇場版のように派手に公開日を遅らせるみたいなことはこれまでなかったので、疑う材料自体実はもうあんまりなくて。しかし、その終わりを自分が待ち望んでいるのか、あまり観たくないのかはよくわかっていなくて、なんだか複雑な気分で来年までを過ごすんだろうなという予感だけがあるような、そんな感じです。
FUJI ROCK FESTIVAL '19 (YouTube)
FUJI ROCK FESTIVAL'19 : Aftermovie
昨年に続き今年も自宅でちらちらとフジロック観てました。土曜日昼あたりの「ずっと真夜中でいいのに」をまず観ましたが、すげぇな実在したんだという謎の感動とともに、あの動画だからこそ映えそうな音楽がライブでもなかなかに映えるのだなぁという驚きがあり、なかなかに新鮮なステージでした。
本命は日曜夜、 toe が初めて FIELD OF HEAVEN でやるというのがあり、そしてその直後に平沢進+会人です。平沢進です。まさかの。フジロック出るというだけでも「えっ」ってなってましたけど、生中継までやってくれました。ヒラサワのステージが生で配信されるってこれまであったんですか。よく知らないけど。なんかそれだけで大事件なんじゃないかって気がするけど。
Twitter でもだいぶ話題になってましたが、まぁ宗教行事、うん、宗教行事だなこれという感じで、よくこれフジロックでやったなというのがあって、でもバッキバキにバッキバキでむちゃくちゃカッコよくて、昨年だと夜にビカビカレーザー光らせながら電子音楽やってたっていうとサカナクションの『ミュージック』とかえっらいカッコよくてエモかったんだけど、そのエモさが60分近く続いちゃったよっていうようなカッコよさでなんかまぁカッコいいしか言ってねーなって感じだけど画面を通してでも満喫できました、という話。もうね、ヒラサワのあの凛とした立ち姿が痺れますわね。気付いたらスマホで画面バッシバシ撮ってた。最後、『オーロラ』の「キミの始まりの日へ」連呼を聴きながら、いかにもエンディングって感じで「あ〜終わりか〜〜〜」と思ってたら『白虎野の娘』がもう1曲挟まれたのが最高でしたね。平沢進が好きなオタクには多いと思いますが、私も『白虎野』からです。はい。
アニメ『ロード・エルメロイII世の事件簿』
アニメ「ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-」PV 「Fate」シリーズのスピンオフ小説が原作
今期は原作ファンである『Dr.STONE』『ヴィンランド・サガ』『彼方のアストラ』がアニメ化されているのでそれは観ていて、それ以外だとこれぐらいと言ったところ。そういえば今年に入ってからあんまりバシッとくるアニメを観た記憶がないんですよ。老化かな、老化なんだろうな。去年が豊作すぎたな自分的に、ていうのもあるんだけども。
Fateシリーズ自体特に思い入れが強いわけでもないんだけど『Zero』はすごく好きで、ウェイバー・ベルベットという、『Zero』における敗北者が『stay night』のその後までを貫く一本の道筋を通すキャラクターにはとてもアツいものを感じるところがあって。本作は現時点までアニメオリジナルのストーリーで構成されていて、その『Zero』と『stay night』の間を埋めるような話や台詞がかなり盛り込まれていて、なんともニヤニヤしながら観ることができています。ロード・エルメロイという鉄面皮を剥がして、ウェイバーとしての素顔を覗かせる演出がやたらに多い。
あとはインストゥルメンタルなOPがお気に入り。アニメというよりは、ミステリードラマの風格。
椎名もた『故に。』
買いましたが、なんかね。胸いっぱいで、まだ開けられてない。