the world was not enough

物語偏愛者の詭弁と戯言

2021.05.05 〜 2021.08.09

趣味ってわりと「連鎖」によるところがあると思っていて。一時期ミニシアター系の映画をよく見に行っていた時期があったんだけど、あの頃は一度映画を見に行くと、シアターで予告編やフライヤーを見て「あ、次これ見よう」っていう気になってまた見に行って、っていう連鎖が繋がっていたし、見に行くつもりの映画を Twitter で検索したりする中で、そのあたりの情報をさらに拾う、みたいなのがあった。文脈が読めるようになる、とか、界隈に精通する、という言い方でもいいかもしれない。美術館もそう。

コロナ禍によってそういった連鎖が全部絶たれているのは大きい。映画や美術館に行っても、次に外出する機会はちょっと間を空けよう、となるのでなかなかそのまま連鎖はしていかない。都内でいま開かれている主な美術展を諳んじる、なんてことは全然できなくなってしまった。それに慣れてきているのがこわい。東京という都市は、街自体が異様なまでの情報の集積だった。

それがブログを書かない理由に及んでいるのかはわからないが、カルチャー的な感覚というか感性の鈍化みたいなものはとても感じている。

……えーと、スタァライト劇場版の話を除けば5月から書いていなくて丸3か月ぐらい。毎月まとめエントリーを書いていた頃と比べるとだいぶ間が空いてしまったので、とりあえずこの期間に視聴したものを並べていくと、アニメは 4月分のエントリー で書いているのがほぼそのまま。『SHAMAN KING』『ゴジラS.P <シンギュラポイント>』『ゾンビランドサガ リベンジ』『SSSS.DYNAZENON』『シャドーハウス』。ゴジラとゾンビが特に良かったかな。

Image from Gyazo

ゴジラは良かったんだけど、ゴジラアニメというよりはどう考えても「円城塔のアニメ化」として優れていて。円城塔がストーリーラインを手掛けたアニメとしては、『スペース☆ダンディ』や、原作自体書いている『屍者の帝国』があったわけだが、24分の短編2本だけだった前者や、円城的要素をかなり捨ててしまった後者と比べて、今回が最も円城らしかったな、と感じたのは面白いところで。随所ですでに指摘されている通り、デビュー作『Self-Reference Engine』にかなり近い。超高性能の計算機による計算結果の衝突、その結果による世界の崩壊や時空の混乱といった要素が双方共通しており、思わずアニメが終わったあとで小説を読み直してしまった。よもやこんな形で円城塔のアニメが見られると思っていなかったので個人的には大興奮だったが、ゴジラとして見ると怪獣たちが世界観の一歩後ろへ下がることになるので、多少の物足りなさもあった。

Image from Gyazo

あと、一昨日まで1週間ぐらいかけて『オッドタクシー』を見ていた。TL で評判を聞くので軽い気持ちで見始めたら、いやー面白い。かわいい動物たちがキービジュアルに踊る一方で、ストーリーは宮部みゆきとも称されるガチガチのミステリーというギャップがもちろん大きな魅力なんだけど、そういったマクロな部分は元より、ミクロに見てもかなり出来が良くて。20人ぐらいがメインで動く作品だけどきちんとキャラが立っているし、あとは全体的にボケツッコミの応酬のような会話の小気味良さ。笑わせては不安にさせ、泣かせ、あるいは可愛さや格好良さを感じる場面もあり、感情をぐらぐらと揺れ動かされて飽きがこない。声優の配置も結構絶妙で、俳優やお笑い芸人が声を当てていることが多いのもあってか、アニメというよりは深夜ドラマとか、シットコムを見ているような感覚が強かった。一方では柿花に山口勝平を当てるような強かさもあるのがすごくいい。

Image from Gyazo

アニメ以外、ではあるがアニメ関連として、6月下旬に「今石洋之の世界」に行ってきた。すごく楽しませてもらったし、小学生の頃の作品が展示されている作品展に行ったのはもしかしたら初めてかもしれない。画用紙を切って折りたたんで本にしたものが置いてあってちょっとビックリしたし、ここまで1人の方の作品を味わい尽くせる機会ってなかなかないな、と思った。プロメア、キルラキルグレンラガン、どれも好きだけど、その中でも今石さんが描いた原画、カットってやっぱり取り分けワクワクするし、この方の描く絵とアニメが好きだなと再認識できた。そしてその一方で、今石洋之という軸で括ってしまえるこの3作品、関わっているスタッフはキャラデザを始め異なる部分があるわけで、それによる差異、作品それぞれの色というのも改めて並べて較べることで認識し直せたのもよかった。

小説では『三体 III』を読んだのがこの3か月では一番大きいかな。『三体』は大きく SF の括りではあるが、 I 〜 III それぞれ全部ジャンルが違う作品に思えた。I は文革の回想から始まり、冒頭で「物理学は存在しない」という謎めいたタームが提示されるので、結構シリアスなミステリーかサスペンスのような雰囲気が大きかった。 II は羅輯が「面壁者」に任命されてからの苦悩と、そこからの回復、そして対決に至るまでの叙事詩のような雰囲気。そして III ではハード SF としての色が急激に強くなる。普通ならいくつかの作品に分けて使うであろうアイデアの奔流を、1個のシリーズにまとめて壮大なスケールのサーガと化したのがこの『三体』だと捉えている。

とはいえ SF に長じていなければ読めないというほどでもなくて、読み口はライトなエンターテインメントなのがポイントなんじゃないだろうか。ハリーポッターかよ、というような分厚さと巻数という点が全然ライトではないのだが、 SF ファン以外でも機会があれば読んでほしいな、と思えるシリーズだった。

他にも『ハンバーガーちゃん絵日記』、いよいよ商業販売されましたねとか、 MIKU EXPO 2021 ONLINE 、クラファンでバックした甲斐があったなぁとか、『ロスト・ラッド・ロンドン』面白かったとか、マンキン再アニメ化は尺が厳しい中だけど頑張っていると思うとかいろいろあるんだけど、このあたりにしとこうか。やっぱりもう少し粒度細かめに書きたいね、短文でもいいから、と思うところ。