今季は何年ぶりかにアニメは一切完走しないシーズンになりました。とあるアニメが非常に評価されていたのは知ってたんだけど、どうも作品自体の評価よりも政治的、感情的な声が大きく聞こえてしまって近づき難くなってしまって色々残念だったなぁと思ってます。ほとぼりが冷めた頃に見るかもしれないし見ないかもしれない。そんなことよりスパイダーバースだ!という感じで今は気になっている。あとは突然のセンコロールコネクト。制作しているのかもわからない状態から、いきなり3か月後に公開って言われるの、心臓に悪い。
来季は取りあえず『けいおん!』と『キルラキル』の再放送見たいなーというのと、アニメという枠からちょっと外れるけど『四月一日さん家の』が気になっていて。VTuberによるシットコムという扱いみたいですが、アニメを名乗ってVTuberがそのまま出てくるという形より、VTuberが俳優として演じている、シットコムであると言われたほうがしっくりきて、なるほどな、という感じ。楽しみ。あとは『きのう何食べた?』は原作読んでないんだけどビジュアル的に気になってます。
遠藤達哉『SPY×FAMILY』
日本全国5000万人が待ち望んだ遠藤達哉先生の新作が投下されたことを、担当の方の Tweet が流れてきたことでたまたま知り、突然の報に驚きのあまり軽く1時間は踊り狂ったとか狂わなかったとか。その後読んだら読んだでこれがまた最高のやつ来ちゃったーーーーー間違いなく遠藤先生、あの『TISTA』をも超える最高傑作来ちゃったーーーーーーーー!!!!って感じで、ほんともう大変なんことですよこれは。私は見逃しましたが Twitter のトレンドにも入ったようだし、はてブもこの数ということで幸先が良すぎます。
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はい。冷静になって改めて書きますが、遠藤達哉先生の処女連載作だった『TISTA』が大好きで。どれぐらい好きかと言うと、人生で面白かった漫画トップ5挙げろと言われたら迷わず挙げるだろうぐらいには好きで。全2巻、おそらくは打ち切りなのだろうなという冊数ではあるものの、しかしむしろこの短さだからこそ、まるで映画のような濃密でスピード感のある展開が生まれて、非常に完成度の高い1作になっているのです。中身はジャンプSQでの連載なので少年漫画というよりはかなり青年漫画寄り。法では裁けない悪を、影で暗殺するミッションを運命づけられた少女と、彼女の正体と苦悩をたまたま知ってしまい、彼女を救えないかと奔走する少年の物語。自己を否定し、与えられるミッションでしか自らの生きる意味を確信できない少女の狂った様が非常に痛ましいものの、それが最終盤でようやく1つの救いに至る、のか、至れないのか、という、その流れがなんとも美しいので是非読んでもらいたい名作です。少年漫画らしいガンアクションも結構見もの。
で、遠藤先生の魅力をそういう「ダーク」な部分に感じている人間としては、『SPY×FAMILY』の少し影のある感じはなんともそそられる部分で、しかしそれでいて『TISTA』のような闇が全体を覆うような話ではなく、基本軸はあくまで明るくカッコよく可愛いというのがこれはもう「取りに来た」なーーって感じがするのです。文句なくエンタメしてるし面白いけど、彼の味である、世界そのものの残酷さを正面から描くという点は失われていない。いや、うん、すごくいい。隔週連載のようだけど、2週間が待ち遠しくて仕方ない漫画が久しぶりに来たなと思ってます。
ゆうきまさみ『機動警察パトレイバー』
エンジニアの組織論は公安9課と特車二課のイメージに頼りすぎだと思う (笑)。
— Takuma SHIRAISHI (@ts7i) March 28, 2018
こんな言葉がありまして、まぁ実際のところどうなのかはわかりませんが、公安9課は『Ghost in the shell』『S.A.C』などで履修済みのためイメージが付くものの、パトレイバーは未履修でよくわかってなくて。確かに特車二課、特に後藤隊長というキャラクターの評判はよく聞くのでいつか読もうと数年来思っていたのをようやく読み始めたところ、止まらなくなり、ここ半月ぐらいは行きの電車でずっと読んでて、つい昨日読み終えた。いや、面白い。面白すぎるでしょう。面白すぎて感想がむちゃくちゃ長くなりそうなので、別エントリーで書こうかなとも思うのだが、はてなではどうも2010年頃に一度「パトレイバー論」が流行ったそうで、今更書くのもなとか思いつつ、そんなん気にせず書くかもしれない。わからん。
なんとなく、うだつの上がらない地味な公務員ものというイメージと、後藤隊長の話だけが先行していたものの、蓋を開けてみると内海のインパクトが強い。特車二課が基本的には場末で地味で平穏であるからこそ、何をしでかすかがまったくわからない内海という存在の異物感が際立って、もしかしたら次のページで誰か死ぬかもしれない、というぐらいの緊張感が漂う。わかりやすい悪じゃないんですよ。悪事を成すことが目的ではなくて、おそらく彼には悪意すらなくて、自らが成したいことの副作用として法を犯すことを厭わない人物。しかし単なる享楽主義かと言うとそうでもなさそうで、終盤ホテルで熊耳を眠らせて、黒崎にも下がらせて、独りになったタイミングで初めて真顔になって策を練っているシーンを見るに、何も考えず快楽だけを求めているように見せつつ、その実相当考えているんだろうなとも思わせるところがあり、底が見えなくてゾクゾクする。ああいう得体の知れなさって、最近あまり見かけていなかったように思う。
劇場版の評判も良いので見たいものの、 Amazon か Netflix で見られたらいいと思ってたんだけど、配信があるの残念ながら Hulu だけみたいなんですよね。古い作品を見たいと思うと、いまだに TSUTAYA に軍配が上がるのかもしれないなぁ、という歯がゆさ。
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石川直樹『この星の光の地図を写す』
東京オペラシティアートギャラリーにて鑑賞。
昨年言及した fuzkue 阿久津隆『読書の日記』 に類する読書日記が、今年から有料メールマガジン「読書日記/フヅクエラジオ」として配信されるようになって、これがまた、行きつけの店の状況が、状態が、行っていなくても(いや行けよ)毎週手に取るようにわかるというなかなかない経験でとても面白いんですが、その中で彼がこの展覧会に訪れた、という話を書いていて、興味を持って行ってみたという形です。
探検家で写真家。というだけならただ綺麗な写真だなで終わるんだけど、彼の写真は傍らにメッセージが書かれていて、それがよくて。北極圏のような、日本からすれば「周縁」である地域に行くわけだけど、それで気付くのが、周縁なんてどこにもなくて、いくつもの中心があるだけなんだ、みたいな話で、どちらかと言えばこれはフィールドワークに近い活動であり、彼の写真と文章は文学に近いのかもな、という気がした。
ずっと真夜中でいいのに
今月の1曲、というよりアーティスト。
ニコニコ動画出身のアーティストはいよいよ紅白に出演してフライデーされるまでになったわけだが、それとは別で「ニコニコっぽい」文脈の音楽が増えていますよね。言及はいまさらなんだろうか。まぁいいか。気にしない。
ニコニコっぽい、って観念的で定義が曖昧だし、そもそもここに冠する名前が「ニコニコ」でいいのかもわからないわけですが、例えば「ずっと真夜中でいいのに」のような、声量強めのチェストボイス、速いBPM、アーティスト自身が素性を明かさない匿名性、アニメーションを用いたMVあたりが特徴になるのか、なんかそういう人をメジャーシーンで見かけることが増えたのかなと。まぁ「ずとまよ」に関してはメジャーデビュー前に『秒針を噛む』を公開しているんで、メジャーシーンで最初から「ニコニコっぽい」ことをやっているかというと厳密にはそうじゃないですが。10年前に同人音楽の片隅で花開き、ブームになった潮流が、メジャーシーンの一角を占めるようにはなったんだろうなぁという感覚がある。
最近は「ずとまよ」から Spotify Radio を流してずーっと聴いているようなことが多い。